「常用漢字」は、漢字の中で特に身近にある2136字の漢字の事を指します。
ほとんどの漢字クイズはこの常用漢字から出題されます。
- 元は1945年に制定された「当用漢字」がありましたが、この当用漢字は1850字しかありませんでした。
(なんと、当用漢字には今では普通に使っている「皿」や「僕」なども登録されていなかったのです・・・)
- その後、1981年に新たに95字(計1945字)を加え、これを常用漢字としました。
- そして2010年、1945字の内の5字を削除、新たに196字(計2136字)を加える改定がなされました。
- ちなみに、そのうちの1006字は「学習漢字」とされ、小学校の6年間で学習します。
小学校では各学年ごとに学習漢字が割り当てられていますが、中学校の漢字は明確には割り振られていないようです。
常用漢字の追加−1945字→2136字に!†
- 日本の漢字小委員会(文化審議会)が2008年7月15日に、「現行の常用漢字に、新たに188字を追加する」という暫定案を了承しました。
- この案には、普通に使われているけど常用漢字ではない「誰」や「頃」などがあり、常用漢字の合計は2133字に・・・
なるかと思われましたが、「今ではあまり使用されない」というような理由から、既に常用漢字に登録されている「匁」や「脹」、「銑」などが5字削除される、という事も暫定案には含まれているため、合計は2128字になりました。
- 同年9月22日に、同委員会は暫定案を再審議。結果、追加案候補から「蒙」の1字を削除して、新たに「刹」「椎」「賭」「遡」の4字を追加することを了承しました。これにより、追加候補漢字は191字になりました。
- 翌年の2009年10月23日、同委員会はこれまでの追加候補案を改めて審議。「聘」「憚」「哨」「諜」の4字が候補から外され、「柿」「哺」「楷」「睦」「釜」「錮」「賂」「勾」「毀」の9字が候補に入れられて、追加候補漢字は196字になりました。
- 更に翌年の2010年6月7日、審議会はこの196字を含む2136字の漢字を改定常用漢字表として文部科学相に答申しました。
- そして同年11月30日、2136字の改定常用漢字表が告示されました。
挨 | 宛 | 闇 | 椅 | 畏 | 萎 | 茨 | 咽 | 淫 | 臼 | 唄 | 餌 | 怨 | 艶 | 旺 |
岡 | 臆 | 俺 | 苛 | 牙 | 崖 | 蓋 | 骸 | 柿 | 顎 | 葛 | 釜 | 鎌 | 瓦 | 韓 |
玩 | 伎 | 畿 | 亀 | 僅 | 巾 | 錦 | 駒 | 串 | 窟 | 熊 | 稽 | 詣 | 隙 | 桁 |
拳 | 鍵 | 舷 | 股 | 虎 | 乞 | 勾 | 喉 | 梗 | 頃 | 痕 | 沙 | 挫 | 塞 | 采 |
阪 | 埼 | 柵 | 拶 | 斬 | 鹿 | 叱 | 嫉 | 腫 | 呪 | 蹴 | 拭 | 尻 | 芯 | 腎 |
須 | 裾 | 凄 | 醒 | 戚 | 脊 | 煎 | 羨 | 腺 | 詮 | 膳 | 曽 | 狙 | 遡 | 爽 |
痩 | 捉 | 袖 | 遜 | 汰 | 唾 | 堆 | 戴 | 誰 | 旦 | 綻 | 酎 | 捗 | 椎 | 潰 |
爪 | 鶴 | 諦 | 溺 | 填 | 貼 | 妬 | 賭 | 藤 | 憧 | 瞳 | 栃 | 頓 | 奈 | 那 |
謎 | 鍋 | 匂 | 虹 | 捻 | 罵 | 剥 | 箸 | 斑 | 氾 | 汎 | 眉 | 膝 | 肘 | 媛 |
阜 | 蔽 | 蔑 | 蜂 | 貌 | 頬 | 睦 | 勃 | 昧 | 枕 | 蜜 | 冥 | 麺 | 餅 | 冶 |
弥 | 湧 | 妖 | 沃 | 嵐 | 藍 | 梨 | 璃 | 侶 | 瞭 | 瑠 | 呂 | 賂 | 弄 | 麓 |
脇 | 丼 | 傲 | 刹 | 哺 | 喩 | 嗅 | 嘲 | 毀 | 彙 | 恣 | 惧 | 慄 | 憬 | 拉 |
追加される読み方†
漢字 | 音読み | 訓読み | | 漢字 | 音読み | 訓読み |
委 | | ゆだねる | | 育 | | はぐくむ |
応 | | こたえる | | 滑 | コツ | |
関 | | かかわる | | 館 | | やかた |
鑑 | | かんがみる | | 混 | | こむ |
私 | | わたし | | 臭 | | におう |
旬 | シュン | | | 伸 | | のべる |
振 | | ふれる | | 粋 | | いき |
逝 | | いく | | 拙 | | つたない |
全 | | すべて | | 創 | | つくる |
速 | | はやまる | | 他 | | ほか |
中 | ジュウ | | | 描 | | かく |
放 | | ほうる | | 務 | | つとまる |
癒 | | いえる いやす | | 要 | | かなめ |
絡 | | からめる | | 類 | | たぐい |
- 今までの常用漢字に無かった新しい読み方も追加されました。
- この他にも熟語として、「海士(あま)」「鍛冶(かじ)」「固唾(かたず)」「尻尾(しっぽ)」「老舗(しにせ)」「真面目(まじめ)」「弥生(やよい)」も読みに追加されました。
漢字のこぼれ話†
こぼれ話1…「卍」†
- ちなみに皆さんは「卍」を知っていますか?
地図記号などでもよくお寺として見ます。
ところであれって「凹」「凸」などのように漢字なのでしょうか?
調べると・・・
「卍」は仏教では釈迦の胸の瑞相が由来らしく、後に「万」の元となった文字らしい。
日本では寺社の地図記号として使われているが、かつて漢字としても使われていた。
ちなみに総画数は6画で、部首は「十」である。熟語は「卍巴」(まんじどもえ)など。
ただし、日本で言う「卍」は正式には「卍字」。
・・・・漢字だったんだ・・・
こぼれ話2…【収】【叫】の画数†
- 収の左側の画数が2画か3画かわからず、
収は画数が4画なのか5画なのかはっきりしない…といわれています。
- …でも、そんなことがあって良いのでしょうか?
ほとんどの漢字字典を見ると、【収】は4画、ということになっています。
「又」の部分は間違いなく2画ですから、左側の部分は「2画」ということになります。
じゃあ、2画?…少しそれは置いておいて、今度は右側の部分がそっくりな【叫】を見てみましょう。
こちらは漢字字典を見ると、【叫】は6画、ということになっています。
「口」の部分は間違いなく3画ですので、右側の部分は「3画」ということになります。
もうお気付きでしょう。【収】【叫】の共通部分は、画数がそれぞれ違うのです。
…では、なぜ?
と、その前に、【収】と【叫】の共通部分をよ〜〜〜く見てみましょう。(右下図)
なにか分かりましたか?…実は、共通部分の「横棒」が、【収】は右に突き出ていないのに対し、【叫】は突き出ているのです。
何気ない違いですが、ここが画数を決める重要なポイントになります。
- ー時は遡ることウン十年…元々、【収】(と【叫】の共通部分はどちらも2画で書かれていました。
(手書きの際は、【叫】の横棒は右に突き出ないのが普通でした。)
それが、1945年に制定された「当用漢字字体表」に収録する際、参考にした大漢和辞典に収録されていた【収】と【叫】の字体が右下の様に書かれていました。
【叫】には本来は無い「右突き出し」があります。
そこで、「右突き出し」のある【叫】の場合は、「左突き出し」との合わせ技で、「当用漢字字体表」に収録される際に、字体が変更されたものと判断されているのです。
その結果、従来の右も左も突き出さないで2画で書く字体は旧字体で、「当用漢字字体表」の字体は3画で書く新字体として扱われることになっています。
これに対して「収」の方は、「左突き出し」しかないので、これは単なるデザイン差*1とみなされ、字体の変更ではないと判断されてしまいました。その結果、「収」の場合は問題の部分は従来通り2画で書き、新字体と旧字体との間に字体の変更はない、という解釈になるわけです。
- こんなドラマがあり、「【収】の左側は2画で、【叫】の右側は3画である。但し、【叫】を右側を2画で書く場合は旧字体と見なされる。」
…というようなややっこしい結果になったんですね…
収叫
- 補足
【糾】の右側も同じような経緯で、【叫】と同じ3画です。
関連項目†
漢字パズル
財団法人 日本漢字能力検定協会HP