*一作目「水没したデータ」　http://quiz-tairiku.com/q.cgi?mode=view&no=4640
*二作目「オルゴールが多すぎる」　http://quiz-tairiku.com/q.cgi?mode=view&no=4693


「今年は仕事少なかったわね。世の中も不景気になると、探偵費用もけちるようなるのかしら。」
(「作者が私たちを出してくれなかったからじゃ…」「しっ、ただでさえ忙しかったらしいのに、ご機嫌損ねたら二度と日の目見られないわよ!!」)
「それはわかりますけど…給料は払ってくださいよ、所長。」
「はいはい。」
ここは事務所…ではなくて、都内の結婚式場。
しかも仕事ではなくて、所長の友達の結婚式のお供なのだ。
時は師走。不景気ででお財布がきびしいのは万人同じなのだが、お給料までけちられたらおしまいだ。

「ところで、所長は御祝儀出してないみたいでしたけど…」
「依頼料と帳消しで。」
「え。」
「あの子、『あしながおじさん』を地で行くような暮らししてるのよ。養育費を匿名さんが払ってくれて大学に行って、作家になったわけだし。　ただ原作と違うのは、『あしながおじさん』が式までに正体を推理しろって言ってきたことなのよ。当てさせて推理作家の素養を養おうって魂胆らしいわ。二ヶ月悩んで解けなくて私のところに持ってきたの」
「それで、分かったんですか？」
「分かってなかったら、恥ずかしくて顔出せないわよ。」
そりゃそうか。興味をひかれていた自分は聞いた
「どんな風にしてだったんですか？　今まで書いてきた手紙全部から推理しろとでも…」
「違うわ。一回限りの挑戦ね。暗号にしてきたの。」
そう言って所長は、紙ナプキンにこう書いた。

えいりっくあいもののんれんろくっにのんれのちげじ
あらざいくいしんふよわれはさぼのとばわめいひもき

ふらふら歩いて二つがぶつかるところに私はいる。

「…こんな文章。あてられるなら当ててみろってことでしょ。」
「？」
暗号も暗号だが、こんな暗号を覚えていてパッパと書けることにも、自分は唖然としてしまった。
「式の予定を立てるときに教えておいたから、この場で発表して花束を送るそうよ。
あなたも当ててみたら？　あなたが推理したことにすれば、新婦が何かくれるかもね。」
そう言って所長はニヤニヤしている。

とにかく。
席次を見る限り、式に招待されている中で、該当しそうなのはこの六人だ。
いずれも彼女の養育施設に関わりがあり、学資を援助できる立場にいる。

灘田(なんだ)　敏明(としあき)　　(48)　某出版社の編集長
広岡(ひろおか)　臨(のぞむ)　　　(37)　タクシー会社常務
猪瀬(いのせ)　雪弥(ゆきや)　　　(40)　温泉旅館の番頭
加瀬(かせ)　孝之(たかゆき)　　　(42)　建設業経営
森山(もりやま)　辰巳(たつみ)　　(39)　某私鉄営業部長
橘川(きっかわ)　文昭(ふみあき)　(51)　某商社取締役

さて、「あしながおじさん」は誰だろう？


追加クイズ

プールをゼリーで満たし、それを細かく砕く(ウ○ダーインゼリーのようにする)。
このプールに飛び込んだら、おぼれることなく泳げるか？