プルルル・・・・。刑事課の電話が鳴った。
「ドラマの撮影現場で殺人があった」との内容だった。
山岡刑事と日下刑事を連れて現場に向かった。

高木「ここが現場か・・・」
山岡「・・・サスペンスの撮影のようですね」
高木「サスペンスで実際に殺人とはシャレにならないな」

日下「被害者は俳優の船原純一郎、本名久村淳二(くむら　じゅんじ)、57歳です。
山岡「“サスペンスの帝王”がですかぁ・・・」
日下「サスペンスの帝王？」
高木「船原純一郎は“サスペンスの帝王”とも呼ばれてるんだよ。」

日下「そうなんですか。」
山岡「ドラマの中では主人公の刑事役をやっていたそうです。」
日下「死因なんですが、頭部外傷による失血死です。」
山岡「崖の上から何者かに突き落とされたそうです。」
日下「スタッフの井上公子、船原の妻が目撃しています。」

高木「井上さん、あなたは被害者が崖の上から転落したのを目撃したわけですね。」
井上「えぇ。」
高木「その時の状況を詳しく教えて下さい。」
井上
撮影が一段落したので、スタッフ、演者ともここで休憩していました。
次はドラマの最後、クライマックスの撮影でした。
あの人は「(撮影)現場を見に行ってくる」と言ってここを出て行きました。　
私は外でコーヒーを飲んで一服していたんです。
ふと、崖の方を見たら、誰か二人が揉み合っていて一人の方が崖から突き落とされたんです。
まさか、それがあの人だったなんて・・・。
高木「もう一方の人、犯人はどこへ逃げましたか？」
分からないですが、森の方へ入って行きました。
残っていた人と一緒に崖の下に行ってみるとあの人が・・・。
高木「状況はよく分かりました。ありがとうございました。」

日下「容疑者は以下の５名です。事件当時、全員アリバイがありません。」
山岡「さっき聞いたんですが、被害者は傲慢で利己的で、相当憎まれていたようです。

高木洋子、本名三橋洋子(みはしようこ　27)。
ドラマの中では被害者の娘役を演じていた。
被害者に交際を迫られていたという。


田畑幸二郎、本名高橋一郎(たかはし　いちろう　59)。
ドラマの中では犯人の父親役を演じていた。
被害者に借金があったという。

山本浩史(やまもと　こうじ　63)。
このドラマの脚本兼監督。
ドラマの演技等、被害者と揉めていた。

原田恵子(はらだ　けいこ　43)
メイク担当。
犯行前日、被害者と激しく口論していたのを目撃されている。

岡村佳奈美(おかむら　かなみ　52)。
被害者のマネージャー。
被害者にこき使われていた。


クライマックス
因縁の地で、最後のターゲットを殺害。
復讐を果たし、海に身を投じて自殺しようとする犯人。
間一髪で父親(田畑)が説得し自殺を食い止め、警察に出頭することを決心。
そして、駆け付けた警察(被害者)に連行される。
という結末だったという。

三波「現場にこんなものが書き残してあったよ。」
山岡「ダイイングメセージでしょうか？」
三波「おそらくな。」
渡された写真には“‖V”と書かれていた。

しばらく写真を眺めていた高木が、あるものを見て口を開いた。
　　「あっ！　そういうことだったのか」
山岡「・・・もしかして、犯人が？」
高木「そうだ。　山岡！今すぐにあいつを連行しろ。」

さて、船原純一郎を殺害した犯人は誰でしょうか？
理由もあわせてお答えください。