某月某日、I市にあるZ県警庁舎前にて。

初めまして。私の名前は神津 三果《カミヅ ミカ》 I県警 捜査第三課の刑事です。
今日は、伊坂 敬《イサカ タカシ》警部と一緒に《魚草邸》に向かう。

状況は、こうだ。
今日の午前7時。魚草邸の執事が郵便受けを見てみると、犯行予告と思しき手紙が入っていた。
魚草邸は、県内有数の金持ち屋敷で警備も厳重だ。普段なら無視する所だけど、手紙の署名を見て慌てて通報したらしい。

「犯行予告のカードだ。指紋は無い。その代わりに‥例の署名が入ってるがな。」
伊坂警部から渡された1枚のカードには、1行の文章と署名が書かれていた。

叔父、魚草から鎌鼬を奪う　堕ちた今から‥

怪盗Leo

怪盗レオ‥今から何年か前、Z県を激震させた大泥棒‥いや、大怪盗だ。
彼には、どんな警備も通用しないと言う。

「怪盗レオって、あの‥？これ、本当に本物ですか？」
「この封筒に使われてるデザインは、一般には公表していない。99パーセント本物だよ。
　あいつには一杯どころか百杯くらい食わされてるからな‥。」
「（《一杯食わされる》の一杯って、沢山って意味じゃないのかな‥。）
　ところで、【叔父、魚草‥】って書いてありますけど。甥か姪が犯人なんじゃ？」
「‥主人の魚草 燈次郎《ウオクサ トウジロウ》の甥も姪も、まだ15歳だ。無関係だよ。
　それにしても、何が言いたいのかさっぱり分からんな‥。‥よし、着いたぞ。ここが魚草邸だ。」

魚草邸は、よく整えられた庭が特徴的な広々とした屋敷だ。
邸内に入ると、召使いらしき女性が迎えてくれて、応接室に案内される。
応接室には、魚草氏がソファにどっかりと座って待ち構えていた。

「Z県警の伊坂です。こちらは神津巡査。‥座っても宜しいですか？」
「どうぞ。‥それで、一体何が狙われてるのだね？
　執事が警察に届けたようで‥私は原文を見ていないんだよ。」
伊坂警部が、犯行予告のコピーを渡した。
「ふむ‥鎌鼬ねぇ‥。ウチには、そんな物は無いと思うが‥。」
「じゃあ‥この家で高価な品物は？」
「‥私にとって、値段は関係ないのだがね。

【アルテミス島の花】

これは、フランスのさる画家の静物画でね、
中央の赤い花が印象的だろう‥。

【ブラウン王子の肖像】

これは‥イタリアのさる画家が描いた肖像画だ。
死ぬまで筆を入れ続けた為に、仮作のまま終わってしまった作品だ‥。

【イリオン城の情景】

これは‥ドイツのさる画家の風景画だ。
城の青い屋根と豊かな緑が美しいね‥。

　以上3つが、私のコレクションの中で高価なものだ‥。」
「（値段は言わなかったけど‥多分、全部何億の物よね‥。）
　でも、鎌鼬が無いとすると‥怪盗レオのターゲットは一体‥？」
「さぁな‥。」

「‥あの、警部。もう一回、予告状を見せてもらえますか？」
「ん？何か分かったか？」
私は、警部から渡された予告状のコピーをじっくりと眺める。

‥‥‥。
これは、もしかしてこう言う事なのかしら‥？

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神津が気付いた、怪盗レオのターゲット。
それは一体、3つの内のどれでしょうか。
理由も合わせてお答え下さい。



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