Z県I市。
I市にある美術館で、殺人事件が起きた。
新米刑事の俺は、またしても三田村警部補と現場に向かった。

現場となったのは、I市のほぼ中央にある県立美術館。
殺されていたのは、美術館の警備員。
その警備員は、絵画の近くの壁に倒れていた。

三田村「どう思う？舞草。」
舞草「‥俺に聞かれても困りますね。」

現場となった美術館の部屋で、俺と三田村警部補は絵画を眺めていた。
背後では忙しく捜査員が動いている。

三田村「‥おっと、仕事しないとな。」
「殺されたのは、江尾 守《エオ マモル》‥この美術館の警備員だ。」
「年齢は32。死因は腹部を刺された事による失血死‥。」
舞草「‥警備員が刺殺ですか‥。」
三田村「どうやら、絵画泥棒を発見したらしい。」
「犯人に刺されてそのまま失血死‥だ。」
舞草「絵画泥棒？」
三田村「Z県警内で有名な絵画泥棒と言えば‥？」
舞草「ええと‥ホワイトウルフに‥怪盗レグルスですか。」
三田村「それがな‥さっき、両方とも逮捕された。」
舞草「ええ！？」

三田村「ホワイトウルフ‥本名 永井 江筆《ナガイ エフデ》」
「怪盗レグルス‥白井 樺素《シロイ カンバス》」
舞草「へぇ‥そんな名前だったんですか。」
三田村「2人とも、昨日は盗みには入っていないと供述している。」
舞草「え？‥じゃあ、新しい絵画泥棒が‥？」
三田村「いや。この二人は進入の手口がほとんど同じなんだが‥。」
「その手口が今回も使われいた。この二人のどちらかが犯人だ。」
「殺人と窃盗なら、窃盗の方が罪は軽い。もしかしたら、片方はわざと逮捕されたのかも知れんな。」

その後、俺達は警備室に移動した。

三田村「‥では、館内の地図は公式ホームページで誰でも見られた訳ですね？」
上鳥「はぁ。ですが、監視カメラの位置などは書いておりませんから‥。」

当たり前の事を言っているのは、上鳥 青樹《カミドリ アオキ》‥この美術館の警備員の1人だ。

上鳥「あ、このホームページも江尾君が作ったんですよ。」
舞草「へぇ‥。すごいですね。」
上鳥「ええ。江尾君はなかなかパソコン慣れしててね‥。」
「こんなホームページなら簡単だって言ってましたよ。」
三田村「‥まぁ、少なくともどちらかが偵察に来ているはずだ。」
「白井と永井を、監視カメラの映像からくまなく探して下さい。」
上鳥「あぁ、はい。やっておきます。」

写真を手渡すと、上鳥は監視カメラの方に戻った。
俺達は再び現場に戻り、被害者の周囲を調べる。

死体の近くには、絵が1つ。【全てがFになる時】と言う作品だ。
抽象画‥と言うのだろうか？ 全体的に、【F】と言う文字が見える。
その時、捜査員が向こうから走ってきた。

捜査員「警部補！ 被害者の手に、血痕が付着していたそうであります！」
三田村「指先‥？ ‥何か文字を遺してるのか？」
舞草「‥でも。ここ、絨毯ですよ。」
三田村「壁だ、壁。」

三田村は屈み込み、遺された文字を探し始めた。

三田村「‥‥あったぞ！」

死体を少し動かすと、彼の体の陰にそれを発見した。

三田村「‥何だ。これ‥。」

・・・
・・・

舞草「‥点、六つですね。」

それは、地面から数センチほどの所に書かれている。
等間隔ではないが、白い壁に鮮明に残っていた。

捜査員「んー、さっぱりであります。」

立ち上がると、丁度DMは先ほどの絵の下だった。
キャプションに書いてあるタイトルをぼんやり眺めた後、
俺は、近くのイスに腰掛けて今日聞いた情報を頭の中で整える。

被害者‥被疑者‥現場‥DM‥。
どこかに‥ヒントがあるはずだ‥。

その瞬間、俺の頭に一筋の光が走った。

舞草「あっ！」
三田村「ど、どうした！？」
舞草「‥わかりました！」
「三田村警部補！あいつを尋問して下さい！」


さて、江尾 守を刺殺した犯人はどちらなんだろうか？