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ヒント知らないよ
このクイズの参加者(16人)
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懐メロです2
難易度:★
クリカラ 2008/09/25 23:12 「お母さん、悪いわね手伝って貰っちゃって」
「何言ってんの、リンカの物なんてもう大して残って無いじゃないの。大体あんたは昔から全然わたしに甘えてくれないんだから…親としちゃ少し寂しいものよ」 結婚式の前日、母の手を借りて最後の荷造りをする。大きな物は既に新居に運んでしまっているので、残っているのは些細な物ばかりだ。 もちろん母に手伝って欲しいと言ったのは建前で、ただ私が母と一緒にいたかっただけだ。母もそのことは良く分かっている様子で、今日は思う存分甘えさせてくれる。 アルバムに私が持っていく分の写真を整理しながら一枚一枚その思い出を語る母。もう誰に話しているのか分からないくらい小さな声で、同じ話を繰り返す。 いつまで経ってもこの人の目には、幼かった頃の私が映っているんだな。少し小さくなった母を眺めながら、そう思った。 そうして過ごしていると、突然母が泣き出した。 「お嫁に行っても元気でいるんだよ…身体だけは気をつけて、本当に元気で…」 私は驚いてしまった。 気丈夫な人で、母は普段涙を見せない。 この頃、一人でアルバムを眺めて涙を浮かべる事はあったけれど、こんな風に私の前で泣くのを見るのは初めてだった。 「いつでも会えるから」と言おうとしたけど声にならない。 母の涙が伝染したのか私もいつの間にか泣き出していた。 母と二人でわんわん泣いた。 「良い事も悪い事もたくさんあるだろうけど、時間が経てば全部いい思い出になるからね。心配いらないよ」 母はそう言って笑った。泣きながら笑ったのでくちゃくちゃな顔だ。 私も釣られて笑った。私と母はよく似ていると言われるので、今はきっと同じ顔している。 とても旦那様には見せられない顔だ。 今日はいい天気だ。 じきに冬が来るけれど、まるで春先のように穏やかな陽気だ。 こんな日の事を小春日和と言うのかな。 「なんだかもう少し、お母さんの子供のままでいたくなっちゃったな」 母には聞こえない声で呟いた。 母が庭先に降りて、小さく咳をした。 私の花壇を指差して、 「リンカの育てた花壇、貰っちゃってもいいかな」 と言った。 花壇では小さな花が風に揺れている。 「いいよ、大事にしてね」 私の返事に母は、満足そうに笑った。 問題 上の話はある歌のバックストーリーを、勝手に想像を膨らまして書いたものです。 歌のタイトルを囁くとかってに君が反応しますが、次回作の希望等ありましたら併せてお書き下さい。 採用された方には次回作の時「PCの前でニヤニヤする権利」を与えます。 なお、「リンカさんは俺の嫁」等の熱い想いはコメント欄にお願いします。
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