Z県I市。
I市のある住宅で、事件が起きた。
新米刑事の俺は、やっぱり三田村警部補と現場に急行する。

現場となったのは、I市の中心部にある小さなマンション。
その808号室で、鏡の前にその女性は斃れていた。

三田村「どう思う？舞草。」
舞草「‥俺に聞かれても困りますね。」

三田村「殺されたのは‥板間 綾人（イタマ アヤト）23歳。女性。」
「死因は包丁で腹部を刺された事による失血死‥。」
舞草「普遍的な事件ですね。‥不謹慎ですけど。」
三田村「‥まぁ、そうだな。第一発見者は、806に居る隣人だ。」
「何でも、肉じゃがを御裾分けしに来たらしい。」
舞草「肉じゃがですか‥。」
三田村「鍵が開いていたので入ると‥って言う事だ。」
「‥ああ、そうだ。一応、死体の状況を‥。」
舞草「見たくないですよ‥。」
三田村「まぁそう言うな。‥ホラ。」

三田村が差し出した写真には、血に染まった床に倒れている女性が写っている。
女性は、鏡にすがっているようにも見える。

次に、鏡の全体図だ。おおきさからして全身鏡らしい。
下部に血が沢山付いた鏡に、フローリングの床と壁だけが映っている。

舞草「うわぁ‥よくこんな血だらけの撮れますね‥。」
三田村「鑑識の篠上って奴が撮ったらしい。」
舞草「篠上？そんな奴居たかな‥。」

三田村「凶器には、被害者の指紋だけが付いていた。」
「まぁ、この家の包丁だからしょうがないな。」
「容疑者は、現在4人。‥と言っても、もうほぼ確定しているがな。」

織田屋 天地（オタヤ アマチ）（23）

三田村「こいつがホンボシだ。現在消息不明‥。」
「どうやら、被害者にしつこくメールでアタックしていたらしい。」
「《叶わぬ恋》だとか《いつも一緒だ》とか‥臭いな。すごく。」
「《君の為なら死んだって構わない》‥寒くなってきた。」
「近所に住んでいるらしいが、正体は不明。仮名なのかも知れないな‥。」

浜元 羽田美（ハマモト ハタミ）（25）

三田村「被害者の友人だ。関係は別に何とも無かったらしいがな‥。」

松本 辰也（マツモト タツヤ）（27）

三田村「ネットの友人らしい。メールの交換も度々‥。」
「最近大喧嘩している。彼曰く、別人のように怒っていたらしい。」

藤谷 八緒（トウヤ ヤツオ）（65）

三田村「御裾分けしに来た隣人だ。一番センが薄いな‥。」
「‥ちなみに、この部屋の両隣は空き家だ。」
「そのせいで、逃げていく犯人は目撃されていない‥。」
舞草「‥そうですか。」
三田村「まぁ、織田屋が犯人で決定だな。」

一度、今日聞いた情報を頭の中で整える。

被害者‥被疑者‥現場状況‥。
どこかに‥ヒントがあるはずだ‥。

その瞬間、俺の頭に一筋の光が走った。

舞草「あっ！」
三田村「ど、どうした！？」
舞草「‥わかりました！犯人は‥」


さて、この事件の犯人は誰なんだろうか？



‥少しフェアじゃないかな？