Z県I市。

Z県警の自分の席に座り、書類を整理する。
見過ごしていたメールをチェックしたり削除したりする。
今日は、何事も無さそうだ。

‥と思った、その時。

舞草「‥何だ、これ。」

1通だけ‥妙なタイトルと送り主のメールがあった。

受信BOX
《三田村：すまん》
《三田村：Re:Re:Re:Re:Re:今日の昼飯》
《Magician：挑戦状》
《三田村：Re:Re:Re:今日の昼飯》

マジシャン‥奇術師？

メールを開くと、いかにもな文章が現れた。

Magician：挑戦状

最初に言っておこう。犯行予告だ。
日々のご活躍、よく知ってるよ。
君は俺を知らないだろうが、俺は君を良く知っている。
犯行日時は今日の午後11時。
Z県内にあるあの高名な宝を頂く。
だが、獲物を示さないのは些かアンフェアだ。
この下に、獲物を記しておく。君に解けるかな？

その下には、意味深な暗号が記されていた。

《蒼く冴える宝石へは》
《アトリエの扉を超える》
《アトリエでは蛙が死ぬ》
《消えた宝を探すから》
《蒼き宝はこの為に》

そして、添付された画像にはこんな文章が
手書きで書かれていた。

《解けない？そんなきさまは》
《奇跡の軌跡を辿っていろ。》

‥えらく雑な字だ。
「そ」は1本のジグザグの線の様だし、
「さ」と「き」のカーブは大きくはり出している。

その時、後から三田村警部補が画面を覗き込んだ。

三田村「‥なんだこれ。」
舞草「犯行予告らしいですよ。それにしても‥あて先が、何で俺なんですかね。」
「窃盗は、一課じゃなくて三課ですけど。」
三田村「お前の閃き力が癇に障ったんじゃないか？‥うーん。Z県の高名な宝物‥か。」

「高名な宝」と言われて
俺が瞬時に思い浮かぶのは、下の4つ。

県立美術館に展示されている絵画《約束の海》

県立博物館に展示されているネックレス《古の赤き輝き》

国際モーターショー会場にある最新車《F-GOR》

国立科学技術研究所にある最新鋭ロボット《PIERRE：01》

因みに、色はこんな感じだ。

《約束の海》‥青
《古の赤き輝き》‥赤
《F-GOR》‥赤
《PIERRE：01》‥白？灰？

舞草「‥とりあえず、どこかに向かってみましょうか。」
三田村「え、もう分かったのか？」
舞草「車の中で考えます。後、8時間もありますし。」

さて、Magicianが狙っている獲物は何なのだろうか？