Z県I市。
とあるマンションで、1人の男性が撲殺された。
新米刑事の俺は、いつも通り三田村警部補と現場に急行する。

現場となったマンションの名前は「フィレンツェ富士川」
F1号室のリビングで、瀕死の男性が見つかったと言う。

三田村「どう思う？舞草。」
舞草「‥俺に聞かれても困りますね。」

入居者の少ないマンションの一室で、不二井 史也《フジイ フミヤ》は瀕死の状態で見つかった。
マンションは9階建て。F1号室は6階だ。

三田村「死因は前頭部を強打された事による撲殺。」
「凶器は‥そこにあるギターだな。」
舞草「ギター‥ですか。」
「確か、被害者は即死じゃなかったとか？」
三田村「瀕死の被害者を見つけたのは、」
「同じマンションに住む 藤谷 風香《フジヤ フウカ》だ。」
「被害者の下の階‥E1に住んでいる。」
「不審な物音を聞き、開きっぱなしのドアを開けると‥。」
舞草「それで‥被害者は何かを伝えたんですか？」
三田村「ああ。何か声にならない声で言ったらしいが‥な。」
「あまりにも伝わらないから、被害者は自らの血で‥ああ書き示したんだ。」

人型の白線の近くの壁。
その下方に書かれた‥やや崩れた「不」の血文字だった。

舞草「自分の名前を書き残したんですかね？」
三田村「さぁな。その行為に意味があるとは思えんが。」
「‥ああ、一応、これがこのマンションの全住民の名前リストだ。」

A2 富士見 風呂《フジミ フウロ》（大家）
B （両空室）
C1 阜山 福郎《フヤマ フクロウ》
D2 古田 房雄《フルタ フサオ》
E1 藤谷 風香《フジヤ フウカ》（発見者）
F1 不二井 史也《フジイ フミヤ》（被害者）
G （両空室）
H2 深川 文恵《フカガワ フミエ》
I1 船越 鮒太郎《フナコシ フナタロウ》

※無表記（A1など）は空室

奇妙なマンションだ。1階に2部屋しか無いなんて‥。
しかも、かなりガラガラだ。

三田村「舞草。藤谷氏が着たぞ。」
藤谷「‥藤谷です。」

三田村警部の隣には、小柄な女性が立っていた。

三田村「とりあえず、彼を見つけた際の事を、出来るだけ詳しくお願いします。」
藤谷「はい‥。ええと、物音を聞いて‥うるさかったから、注意しに行ったんです。」
「不二井くんの部屋のドアは、開きっぱなしでした。」
「ドアを開けると‥血まみれの不二井くんが居ました。」
「慌てて119番に電話して‥110番にも電話しました。」


藤谷「不二井君！？不二井君！？どうしたの！？」
不二井「‥‥‥なぐ、られた‥。」
藤谷「誰にやられたの！？」
不二井「‥‥‥‥。」

不二井は、口をがくがくと動かすだけで声は出なかった。

藤谷「不二井君！しっかり！動いちゃだめ！」
不二井「‥‥‥‥。」

不二井は、藤谷を無視して壁に向かって這い出したと言う。
そして‥自らの血で、壁に「不」と書いたらしい。


三田村「ほぅ‥興味深いですな。」
舞草「不」‥やっぱり、自分の名前としか思えないですけど‥。」
三田村「ちなみに、住民全員にアリバイは無い。」
「全員が犯行可能って訳だ。」


その時、俺の頭に一筋の光が走った。

舞草「あっ！」
三田村「ど、どうした！？」
舞草「‥わかりました！」
「三田村警部補！あの人を尋問して下さい！」


さて、不二井 史也を撲殺した犯人は誰なんだろうか？


（今回は動機とかは考えなくていいです）

久し振りに思いついたので書いてみました。
基本的な物語は私の愛読する某氏のパクりです