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ヒント知らないよ
このクイズの参加者(4人)
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難易度:★★★★★
![]() ![]() (これでよし。あとは、あの男がこの部屋に入ってくるのを待つのみだ。)
霧越 霞はこの部屋が大嫌いだ。夫である霧越 洋一の研究物である爬虫類のケージが至る所に並んでいるからだ。爬虫類はどうも苦手だ。新品のケージの中の住人(住獣)は、殺意を持っている人間など知るよしもなく眠っている。部屋の中は、研究室兼寝室になっている。霞は吐き気がするほど気味悪い獣と一緒に寝ている夫の神経が分からなかった。財閥の社長の放蕩息子であった洋一の財産目当てで結婚した霞には洋一に対する愛情など微塵もなく、むしろこのごろは憎しみが募って来たぐらいだ。 しかし、今回ばかりは変人の夫に感謝する他はない。今、霞はテレビのミステリードラマに出る事を夫にしようとしているのだ。『完全犯罪』を・・・・・・ ちょうどその時、インターホンが鳴り響いた。いつの間にか夜の9時になっていたのに気づいた霞は忌々しそうに研究室を眺めながらドアを閉めていった。 (あいつを殺したら、あの部屋は取り壊そう。死んだ男のペットの面倒を見るなんてごめんだわ。) ガチャッ・・・ 「ただいま。」霧越 洋一が儀式めいた言葉を言いながら背広を脱いだ。 「おかえりなさい。どうでした、大学の方は?」 「いつも通りだよ。」そう。いつもこんな感じなのだ。まるで蛇みたいに無愛想で、素っ気ない男。 「掃除はしたのか?飯は?」 「さっき、研究室に掃除機をかけて終わった所です。ご飯の用意はしてあります。」(最後の晩餐のね。) 「あの、明日は獣医仲間で旅行に行くの。だから...早めに出て行くから。」 「あっ、そ。勝手に行け。」 その後。洋一は何も言わずテーブルにあった夕食を盆に乗せてから研究室に向かった。 (これでよし。)そう思いながら、霞はさっきまでの感情と打って変わって、ダンスを踊るようにかろやかな動作で旅行の荷物をまとめた。 翌日、霞は研究室の前に立ち、にやりと笑いながらその家を後にした。時間は午前6時を指していた。 その後の3日間は解放的な旅行だった。アリバイ作りのためとはいえ、ここの所シゴトばっかりだったからすっきりした。霞はこれからの人生の事が考えながら、自由に休暇を満喫した。 旅行を終え、家に戻ってみたら大騒動だった。どうやら隣人が不審な物音を聞いて警察に通報したのだろう。警察がこんなに早く呼ばれるのは誤算だが、どっちみちアリバイは確保してある。担当の刑事は推理ドラマに出てくるような中年の男ではなく、38歳の霞よりも若そうな女だった。刑事は『由良間』と名乗った。 「今回のことはお察しします。」 「しゅ、主人はどうしたんですか?…何かあったんですか?」 「ご主人は、寝室の中で死体となって発見されました。我々はご主人は自殺したか事故にあったのでは無いかと見ています。」 「じ、自殺?事故?どうしてですか」 「寝室のなかは、内側から鍵が掛かっていました。死因はご主人が飼っている…その… ペットによるものだと。」 「そうですか。ああ。かわいそうに。」 「失礼ですが、あくまで型通りの質問なのでお答えしてもらいませんでしょうか?」 「ええ、構いませんわ。」 「一昨日の午後9時から11時の間は何処で何をしていましたか?」 (その時間帯が死亡推定時刻なんだ。)霞は内心そう思った。 「実は、3日前から仕事仲間と一緒にロンドンに行っていたんです。そして、昼頃に帰国して家に戻ったらあなた方が来ていたので。」 「なるほど。お仕事は?」 「獣医です。」 「そうですか。分かりました。それとあの…部屋の中のカゴにいるのはご主人のペットですか?」 「ええ。ペットというよりも研究材料です。奇妙に思われるでしょうね…」 「ええ、まあ。わかりました。あの…あまりお気になさらずに。」 「ありがとうございます。」 「あと少しで終わりますので。。では、失礼します。」 その後、1時間くらいで警察は引き上げていった。 帰った後でゆっくりするのは大変だと霞はしみじみそう思った。 「以上、これが2日前の事件のあらすじな訳よ。その後、パソコンで書かれた遺書も見つかってる。全く気味が悪かったわ。至る所にイグアナとかトカゲとかのカゴあったのよ。あんな部屋を寝る所として使うんじゃ神経おかしいし、奥さんも気が滅入っちゃうわよ。」 「被害者の事、悪く言うんじゃないよ。」氷橋 賢人はナプキンで拭いたコーヒーカップを定位置に戻してから事件のあらましを聞いていた。 「それで、部屋の鍵はデスクの上で密室という訳か。しかも、死因は飼っていたコブラに首筋を噛まれた事による呼吸不全。災難だな〜。」 「始めは驚いたわよ。隣人から通報をもらって部屋の鍵を開けてみたらヘビが被害者の頭の上に乗っかっていたのよ。信じられる?もう、捜査員も大騒ぎになってしばらく入れなかったわよ。とんだ死に方ね。」 「警察は自殺と事故の両面で捜査してるって聞いたよ。でも、おかしいぜ。」 「何がよ。」 「これは、事故でもなければ自殺でもない。俺の予測では他殺だと思う。そして、殺したのは奥さんさ。」 「どうして?!!!」 「考えても見ろ。お前が言うには、自殺の場合は???だし、事故の場合は???なんだぜ。それに彼女はあまりにも不自然なことを言っている。どう考えたっておかしい。」 「あっ、なるほどね。だとしたら、ヘビは何処に隠したの?被害者を殺したヘビは1mくらいはあったわよ。そんなんだったら目立つし、ましてや確実に被害者を仕留めるなんて出来るの?」 「そこなんだよ。それが解ければ、密室も婦人のアリバイも関係なくなるんだ。」 「それに仮にそうだとしても、証拠も無いのに逮捕できないわよ。」 「う〜〜ん。」そのとき、氷橋の頭の電球がピカッと光った。 「そうか、なるほどね...薫、現場の部屋に合ったもののリストの中で壊れていたモノ、あるいは奥さんが修理に出そうとしていたモノはないか?」 「えっ。ちょっと分かんないな。」 「じゃあ急げ。霧越家の近くのゴミ捨て場で、事件の後、霧越婦人が捨てたものを探すんだ。今なら、収集車が来るまでまだ時間がある。」 「ちょっと、何なの?何処に入っていたのか分かったの?」 「ああ。早くしないと証拠が無くなってしまうぞ。」 事件編はここまで。長々とした文章を読んでくれてありがとうございました。氷橋は、毒ヘビの隠し場所が分かったようです。さて、ここで問の問題も入れて皆さんに出題します。 問1・・・氷橋の言った自殺の場合と事故の場合の不審な点を答えてください。 問2・・・霧越 霞の不自然な言葉とは? ここで本題です。 毒ヘビのコブラはいったい何処に隠されていたのか? もう一度、言います。長々とした文章を読んでくれてありがとうございました。皆さんの健闘を祈ります。
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