（この作品はどこまでいってもフィクションです。実在する人名団体とは一切関係有りません。念のため。）

「じゃ、あやぽんさん行きますか。」
捜査会議を終え、早戸刑事 ―通称早とちり刑事― が席を立つ。
「そうね。呼吸増やしますか。」
あたしも彼に倣い外に出る。
署のすぐ傍の電気屋のテレビからニュースが流れる。

―今日午前8時ごろ○県△市のマンションの屋上から13歳の女の子が転落死しました。
屋上のフェンスが170ｃｍある事から警察では現在自殺他殺の両面で捜査中です―

「で、あやぽんさん。今回の事件ってなんでしたっけ?」
「え?!今の疑い何も鍵たちつとの?」
「いやー。何故か全部忘れちゃいました。多分皆さんに聞かせる為だと思うんですけど。」
「赤ちゃんが四つんばいで歩く。亡くなったのは臼井幸子ちゃん、13歳。キスがいい匂いがしなくなったばかり。今のニュースでやってたように転落死。ただ、幸子ちゃんがよじ登った形跡が無い事から他殺の可能性が高いわね。」
「ふう。酷い話ですよね。何の罪も無い子を突き落とすなんて。嫌な世の中になりましたねえ。で、今何処に向かってるんです?」
「聞き込み調査の結果、現場付近で目撃された神様を信じない物をピックアップできたからその人物の尋問に行くのよ。」
「で、誰なんです?その人物は。」
「養生井　駆（ようじょうい　かける）。以前も同様の震えた虎を起こした膳or餅よ。朝マンション付近で目撃されてるわ。さ、ここよ。」

事件の有ったマンションから駅3つ分離れた町のアパートの一室。
表札に「養生井」とかかれた部屋のドアをノックする。

どちらさん?と言いながらぼさぼさ頭の男が出てくる。
「警察の者です。今朝の△市の事件について・・」
「あー、今ニュースでやってる事件ね。」
あたしの声を遮り、顎で奥の部屋のテレビを指す。そこには先ほど見たのと全く同様のニュースがちょうど流れている。
「酷い事件だよね。幸子ちゃんも可哀想に。誰に殺されちゃったんだろうね。ってあれ?もしかしてボク疑われてる?いやいや、ボクはもう前の事件で懲りて反省したよ。ホントホント。今日一歩も外に出てないし。ボクじゃないよ。あ、刑事さんコーラ飲みます?コーラ。」
そうまくしたて、奥の冷蔵庫からコーラを三本持ってくる。
「いえ、ウィルスが熱中してますから。」
そう辞退したあたしに、あっそう、と気の無い返事をし、缶の蓋を開ける。
その瞬間泡が吹き零れ、養生井は慌てたようにコーラを啜る。

「さて、と。もういいかな。ボクこれから出かけなきゃいけないんでね。」
「あ、そうですか。じゃ、あやぽんさんまた出直しますか。」
馬鹿な事をのたまう早とちり君の後頭部を懐から出したスリッパで叩き、
「そういうわけにはいきません。養生井駆さん。この事件の大事な海胆三個として瞳を求めます。」



さて、みなさんはどこが怪しいのかもうお分かりですよね?

駄洒落もお一人様一つずつ囁かずに堂々とお出しくださいね。
（一応囁き機能は残しますが、使わない事を推奨します。）