Ｍ銀行終身名誉顧問、漆川源一郎。７３歳。
車椅子に座る姿は小さく
声がでなくなり筆談に頼っている。
しかし鋭い眼光と尊大な態度は
往時を思い起こさせる。
その漆川が私にホワイトボードを見せる。
『いつまでここにいる？』
「まもなく米軍のヘリコプターが来ます。
　米軍に非公式に要請して基地内士官公舎を借り受けました。
　そこならインビジブルも手を出せないはずです。
　それまではこの名探偵、水時方玖里子におまかせください。
　必ずお守りいたします。」
『仕方ない　おまえを信用してやる　わしをしっかり守れ』
私と漆川は何もない荒野の真ん中に２人きりだ。
ここならば誰かが近づけば絶対にすぐわかる。

私は総理大臣から極秘の依頼をうけ
日銀総裁加茂重義の公的資金流用疑惑を調査してきた。
加茂の背任罪を立証できるのは３人。
その３人の重要証人のうちすでに２人が暗殺された。

山田浩三は自社ビル最上階で
ボディガードに囲まれていたが殺された。

清水宗男は自宅地下の核シェルターに隠れていたが
殺された。

狙った人間がどこにいても仕留める。
それが暗殺者インビジブルなのだ。

漆川が車椅子から立ち上がった。
その額に穴があく。
遅れて銃声が響いた。
ダァァァァーン。
しまった？狙撃？どこから？？
倒れた漆川に駆け寄るが即死だ。
漆川が持っていたホワイトボードが地面に落ちている。
大きな文字で『手をひけ』と書かれている。
くっそー。インビジブルめ。

繰り返すが私と漆川は荒野の真ん中に
２人きりだった。他には何者もいなかった。
周囲には何もない。
私が無作為に選んだ場所だから
地面や地下にも何のしかけもない。
人間はもちろん動物だろうがロボットだろうが
付近に近づく者も隠れてる者も絶対に無かった。

『手をひけ』の文字はホワイトボード用マーカーで書かれてた。
ホワイトボードもマーカーも漆川の私物で何の仕掛けもない。
漆川は直前まで普通に使っていた。

もちろん私はインビジブルではない。
インビジブルの協力者ではない。
私はホワイトボードに文字を書いていない。

問題　　文字はどうやって書かれたのか
　　　　　わかりますか？

えぇ、かってにを使ってないので、返信でお願いします
理由もお願い！