夫が死んでいますとの通報を受けた警察は現場である鈴木家に駆けつけた。死亡者は鈴木良太。
死体の第一発見者は妻である鈴木葉子で仕事から帰宅すると包丁で刺されて動かない夫を発見し通報したという。
死亡推定時刻は午後１０時頃。妻が今から帰ると自宅に電話して夫が返事したのが午後９時４０分
妻が帰宅した時間が午後１０時３０分少し前である。
動機や状況証拠から安部時成（アベトキナリ）が最重要容疑者とされた。しかし、安部時成にはアリバイがあった。
その日の午後１０時頃は自宅のワンルームマンションで友人の先崎要（センザキカナメ）と
レンタルショップで借りたＤＶＤを見ていたということであった。

＜安部時成の事情聴取＞
刑事「あの夜のことを詳しくお訊かせください。」
安部「夜の８時ぐらいに先崎君が僕の家に遊びに来ました。ビールを呑みながら話をしました。
　　　映画の話題になり、丁度、ＤＶＤを借りていたのでそれを見ることになりました。」
刑事「映画は何時まで見てましたか？」
安部「夜１時ぐらいに見終わりました。それから、すぐに寝ました。
　　　先崎君は朝の７時から仕事ということでしたので朝の５時過ぎに起きました。
　　　一緒にマンションの下まで降りタバコの自動販売機の前でタバコを吸っていた先崎君に
　　　駅まで送ろうか？送るっていっても徒歩でですが。と訊いたところ彼は眠いだろ。いいよ。と遠慮しました。」

＜先崎要の事情聴取＞
先崎「安部君に誘われ８時過ぎにマンションに着いたと思います。映画の話をして午後８時３０分頃からＤＶＤを見ました。
　　　でも見始めて３０分ほどで、朝の早い仕事にアルコールも手伝ってウトウトして寝てしまいました。ああ、
　　　でも映画のクライマックスは安部君に起こしてもらったので見ましたよ。起きたのは午後９時３０分でした。」
刑事「確かに９時３０分でしたか？」
先崎「はい、部屋の時計ではっきり見ましたから覚えております。その映画は午後１０時過ぎに終わりました。その後
　　　僕らは午後１０時４０分頃からもう１本映画を見ました。午前１時前に見終わり寝ました。」
刑事「その間は、ずっと安部君と一緒だったんですね？」
先崎「いいえ、１本目を見た後にタバコが切れたので僕はタバコを買いに部屋を出ました。安部君は部屋に残ってました。」
刑事「そして、あなたはタバコを買ってどうされました？」
先崎「タバコは売り切れでした。そして、部屋にすぐ戻りました。」
刑事「あなたは、どのくらいの間、部屋にいませんでしたか？」
先崎「２分ほどです。」
刑事「何か気になった点とか他に何かないでしょうか？」
先崎「灰皿代わりに使っていたビールの缶を間違えて呑み吐き出しました。映画を見ながらでしたので気がつかなかったんです。」

安部時成の家から鈴木良太の家まで、早く見積もっても２０分（往復４０分）はかかる。
アリバイを崩して、真相を推理してください。
※人名など実際のものとは一切関係ございません。
説明不足や穴があるかもしれませんが、よろしくお願いします。