初投稿です。こちらの投稿でいいのかな…。
あまり手ごたえがないものかもしれませんが、
よろしければ読んでみてやって下さい。
不備等ありましたら、ご指摘頂ければ幸いです。



俺はちょっと名の知れたトレジャーハンター。
ある筋から入手した財宝の地図を元に、
とある国、山奥の陽も届かないような
洞窟の奥深くに今俺は居る。

ここに来るまでにはあれこれ罠みたいなのも仕掛けられてたが、
あんなの俺には子供だまし。
今まで何人もの学者やらハンターやらの
挑戦者が居たとかちらっと聞いたが、
結局財宝を手に入れた者は居ないとか。
何でこんなクエストごときに苦労したのかねぇ。

狭くやっと人が通れるほどの曲がりくねった道を進み、
急に開けた、大きな空洞。
いきなりまばゆい輝きが俺の視界を眩ませた。

ぱっと見だけでも、何億…いや、何十億だろうか。
山となったお宝が、俺の目の前についに現れた。

だが油断は禁物。
最後の最後にとんでもない罠があったりするからな。
空洞になっている財宝の部屋に入ってすぐの所に、
これ見よがしに作られている石版の所へ慎重に歩み寄る。

ところどころ窪みになってるためか、
文字が途切れ途切れになってるようだが
読めないことはない。
この財宝の持ち主からの、最後のメッセージか。


『　これは、ようこそ。何人目の、客人だろうか。　こんな人知れぬ地　に足を
踏み　入れ、数々の難を乗り越えて　ついにここに辿り着い　た。
君は、十分に賞賛に値する。　後はその手に、私が隠した百数　十億の誰にも
　分かたれてない財宝を手にするだけだ。先々急ぐと、　後に後悔する事に
なるだろうから、うとましくても全部読んでくれたまえ。
５分とはかからないはずだ。
　おちつく事が　前に進む事にもなると、聡い君なら、わかるだろう。
　はたして、ここに辿り着いた君に、私は怒り所か笑みさえ禁じえない。
君はここで、　死さえも恐れぬ程の、この世の最高の富を得るだろう。
君が聖人だろうと、　ぬすびとだろうと、それは関係ない。』


へえ。
何か紳士的だなおい。
これから自分のお宝、取ってこうってするヤツにさ。
なんとなくひっかかるけど、まァ、脱帽したってやつかね？

そしてそのメインの文章の下にさらに刻まれている文字まで、
慎重な俺様はきちんと目を通す。
こちらは少し小さく書かれてるためか、
欠損してる部分はなさそうだ。
急いては事を仕損じるってね。


『最後に仕掛けた、私からのささやかな罠など、
もはや君にはものの数にもなるまい。
ただ、穴の後ろを注意深く気をつけてもらえれば、
さらに至上のこの世に２つとないものを
君は得る事ができるかもしれない、と付け加えておく。

君の英知と、栄光に、乾杯。』


にや、と口の端が緩むのを引き締めつつ、
もう一度室内を見渡して。
確かに所々、怪しげな箇所はあるけど。
見た目そんな複雑なトラップでもなさそうだ。
落とし穴とか何か落ちてくるとか。
単純で子供だましのものばかりだ。

何とかメッセージを読み終えたものの、
俺の心は目の前の財宝に奪われてる。

あの宝石を散りばめた宝剣。
でかいダイヤを頂いた美女像。
金銀細工で彩られた極上の織物。
溢れんばかりの金貨の山。

…どれから品定めしてやろうか。
いやいや、それともやはり室内の罠に気を配るべきか。


もう一度、己の心に問う。
すぐさまに宝を手にして酔うてもいいか。
慎重に調べながら進むべきか。
どちらだろうか。