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太傅の事件簿『密室?のヤッホーポイント』
難易度:★
たいふ 2016/01/07 22:40 ここは、W県M市のある山奥。時刻は午前11時を少し回ったところ。道の駅で早めの昼食を済ませた太傅たちは、土産物店の主人に話しかけられた。
「お客さん達、【鬼の土俵】に行かれるんですかい?でしたら、気を付けて下さいよ。」 【鬼の土俵】というのは、幅80m高さ40mほどの断崖の中央に、真っすぐ突き立てられたかのようにある、円柱状の土地に造られた自然公園である。 吊り橋が唯一の往来の手段という秘境だったが、ヤッホーポイントに指定されたことでちょっとした観光スポットにもなっている。 「気をつける…吊り橋は最近新しくなったと聞いていますし…熊でも出るんですか?」 事前に安全を確認していた太傅は、不安になって問う。 「そんな大物じゃない。橋元さんとこの史郎だか蛾次郎だか…ああ、次郎だ、次郎!!そいつがまだ捕まってないらしいんだよ。」 「そいつ何やったんだ?人でも殺したのか?」 事件の匂いを嗅ぎつけたヒロシ君が目を輝かせて尋ねる。 「そんな大層なことができる奴じゃない…盗みだ。だが怪我人も出てるって話だ。」 慎重なアキラと血気盛んなヒロシ君の口論を宥めつつ、ご主人に礼を言って店をあとにした。 結局、駄々をこねるヒロシ君には勝てず、1時間ほど車を走らせて目的周辺の駐車場に着いた頃だろうか…カーラジオから 『臨時ニュースが入りました。本日11時30分頃、強盗致傷の容疑で護送中だった≪ハシモトジロウ≫容疑者(26)が、手洗いに立ち寄った道の駅で土産物店の売上3万円を奪い、警官2人を振り切って山中に逃げ込み、今もなお捕まっていないとのことです。容疑者は身長185cm体重100kg、長髪の巨漢で…』 そんなニュースが聞こえてきた。 「似たような話を聞いたような気もするけど…犯人、近くにいるんじゃないか。」 「名前が全然違うし、大丈夫だよ」 2人の話を聞きながら、「どうも雲行きが怪しくなってきましたねぇ」…空を見上げながら呻く太傅であった。 【鬼の土俵】に渡る吊り橋に向かうと、小さな券売所があった。橋を渡るためには券を購入しなければならない。御時世だろうか、防犯カメラも設置されており許可なく渡ることは出来そうにない。太傅たちの前で料金を払った3人の親子がおそるおそる吊り橋を渡って行くのが見えた。 太傅たちも3枚購入。券にはそれぞれNo.4 No.5No.6と印が押されている。売り子に聞くと、その日の販売数らしい。つまり、今日ここを訪れたのは、前を渡るピクニック目的の親子と太傅たちの6名だけということだ。 券も購入し、いざ渡らんという段になって、何とヒロシ君が怖気づいてしまった。曇ると昔の古傷が疼くだの蛾次郎が潜伏してるだのと訳の分からない理由を並べて券売所の柱にしがみついて離れない。それから10分くらいたった頃だったろうか…諦めて帰ろうとしたとき、 「キャ〜ッ!!」 という悲鳴らしき声が【鬼の土俵】にこだました。 太傅は、ヒロシ君の面倒をアキラに任せると吊り橋を駆けていった。 【鬼の土俵】…ベンチなどは設置されているが、遊歩道は十分には整備されておらず、一歩逸れればただの森だ。人の気配のない森をしばらく探しているとおろおろしている両親らしい男女に出会った。途中で娘とはぐれたらしく、探した方がいいんじゃないかなどと話をしている最中、あの声が聞こえたのだという。 森の中にはいないと判断した太傅は、両親を連れて公園の縁…崖の捜索に移った。5分ほど歩いただろうか、今にも壊れそうなかずら橋が対岸に架かっているのが見えてきた。[わたるな きけん]という真新しい看板が立っている。小さな子なら渡れなくもないだろうが、桁がところどころ腐って抜けたような橋を渡ろうとは思わないだろう。 そのすぐ傍で、崖に生えた木に引っかかっている少女を発見した。生死は分からないが全身の至るところに出血が見て取れる。 「まるこ〜!!まるこ〜!!」 「うちの娘です。は、早く助けないと!!」 崖を下りようとする両親を説得しつつ、太傅はレスキューに連絡をいれた。救助が来るまでの間、太傅は両親から事情を聴き、周辺の調査を行った。 連絡から15分…まるこさんは助け出された。頭を強く打ったようで意識ははっきりとしないが、裂傷、擦過傷は浅いものが多く、命に別条はないそうだ。そんなまるこさんが朦朧とする意識の中で呻いた「は、はし…」とかずら橋を指差すのが気になったが、2人を残したままにしていることを思い出した太傅は券売所に戻ることにした。 アキラ、ヒロシ君の元に戻った太傅は2人から次のような話を聞かされた。 「ねぇ、お兄さん。昼間ニュースでやってた≪ハシモトジロウ≫さんが捕まったんだって。」 「女の子も助かるって言うし、全て解決、万々歳だな。」 「ふ〜む…どうなのでしょうねぇ。」 さて、まるこさんは何者に襲われたのでしょう? どこから来て、どこへ消えたのか?
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