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クィリシア国の商人
難易度:★★  
?s_hskz 2015/11/12 14:57
あなたはインターネットのSNSで知り合った友人でクィリシア国の住人のヌカノケに招かれて、クィリシア観光を兼ねての道中にヌカノケの家に一泊することになりました。ヌカノケの家は小さな商いを営んでいて、薬草を売っているそうです。
風光明媚な観光地をいくつか回った数日後に、約束の日になってヌカノケの家を訪問したところ、なんとヌカノケが大きなタンスをかついでちょうど家から出てくるところでした。

『やあ、ヌカノケ、いったいどうしたんだい?』
『お?思っていたよりお早いお着きで。なあに、明日の高価な薬草のまとまった仕入れのための資金が足らないことにさっき気がついてな。それと、今夜は君と飲み明かしたいから、旨い酒やツマミも欲しいし。金を用立てるために、これから銀行に行くんだ。あ、タンス重いから手伝ってくれ。』
『銀行に行くのにタンスがいるのかい?』
『ん?そうだよ?』
当たり前のように答えるヌカノケです。

あとでわかったことですが、この国の銀行ではこうしたことが日常茶飯事なのでした。この日、ヌカノケはタンスを持ち込みましたし、銀行についてみれば、ある者はテレビを、ある者は釣竿をと、幾人かがマチマチに何かを持ち込んでいるようでした。この日、銀行の窓口でいくばくかのお金を受け取り、ヌカノケとあなたは再びタンスをかついで帰路につきました。その夜は美味しい食事とお酒で話が盛り上がりました。

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ではここで出題です。

なぜヌカノケはタンスを銀行に持ち込んだのでしょうか。実はこうした倣いは、クィリシアばかりでなく、あなたが知っている国々にもあるのですが……

解答発表は11月15日といたします。⇒出題者の都合により11月16日頃に延期いたします。
 
11/13 No.10にヒント?を投稿させて頂きました。
 
11/15 No.15に最終ヒントを投稿させて頂きました。
 
Answer 
以下のふたつの契約が結ばれました。

●ヌカノケは銀行にタンスを50クィシリア・ギルで売りました。支払いは即日現金です。

●銀行はこのタンスをヌカノケに60クィシリア・ギルで売りました。支払いには月賦が採用されました。

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◆補説。
イスラム金融による銀行は世界各地にあり、イスラム教での金融取引についての規範を守る前提で、非イスラム教徒でも利用することが可能です。インドネシアなどでも非イスラム教徒がイスラム系金融機関を使うことが日常となっています。物語中のヌカノケはすました顔で酒を飲んでいますから恐らくはイスラム教徒どはないことでしょう。イスラム系金融機関に類似したルールを持つ銀行と取引をしたという物語設定です。

《お金の貸し借りで利子をとってはならない》という規範は、現実世界においても存在します。古くは初期のキリスト教圏でもそうでした。そのために、ユダヤ教徒などが貸金業を営む契機となり、シェイクスピアの『ヴェニスの商人』に登場する人物であるユダヤ系の悪徳金貸しのシャイロックに、そのイメージが少しばかり投影されているようです。
特定の宗教や特定の民族に対する差別意識などまったくもってけしからぬことですが、こうした多様性の歴史を知っておくことは有益なことでしょう。さて話を元に戻します。

ひとくちにイスラム金融と言っても、実際のルールは実に様々でして、イスラム金融機関どうしでの取引においてもルールの解釈の違いで困る場合が多々あるそうです。大雑把に言えば、厳格か、緩いか、ということになります。今回の出題では、《掛け売り》を許可する解釈のもとでの、《ヒヤル》に題材を求めました。《掛け売り》なんてダメだろ、という解釈で運用しているイスラム金融機関もありますし、《ヒヤル》なんて絶対だめだ、というイスラム金融機関もあります。もしもご利用なさるときには良くルールを把握してからにしてください。

イスラム法のもとでは、安く仕入れて高く売ることは合法です。これをダミー商品について2回行うことで『利ざや』の移動が行えます。これを【利子】の代替とする便法が《ヒヤル》の中心テクニックです。ハッキリ言えばズルイです。《ヒヤル》の語義には『奸計』という意味がありますから、わかっていて行うわけです。このため、ルールの解釈が緩い地域で行われています。また、掛け売りも許可されなくてはいけません。この場合には事故を想定しなければなりません。掛けで売ったのに回収できなければ銀行は大損です。今回の出題での物語設定では、タンスの値踏みを導入しました。ヌカノケが月賦を支払えなくなったならば銀行はタンスを引き取ることになります。(ヌカノケにとってタンスをもっていかれるとたいへんなことになる場合には猶予が与えられるように定められています。)

さて、イスラム金融の実態は複雑怪奇で日々進化しています。専門書を数冊読んだくらいでは実際の商取引で慌てるのだそうです。規範からの合法的な抜け道の巧妙さ複雑さがたいへんに飲み込みにくいからなのでしょう。

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参考文献

『イスラーム金融―贈与と交換、その共存のシステムを解く』p.86 櫻井秀子 新評論
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