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難易度:★★
![]() ![]() 人のあるところ、事件のない場所はない――。
X国中央捜査局殺人捜査部第2課第4線 線長ウェイド・スキャウ(通称、ザ・スキャナー)の日頃の思いの例に漏れず、今日もまた事件の発生が彼を呼んだ。 「殺されたのはクライ・マックス、24歳。マツシタ芸能事務所所属の俳優、シロー・コトナガのマネージャーです。事件現場であるこの待合室に入るところを目撃されたのを最後に、今朝、死体となって発見されるまで、彼を見た者はいなかったとのことです」先に現場に到着していた部下であるロー・ゴナン副線長が、両目に濃い隈を抱えつつ欠伸混じりに現場にやってきたウェイドに事件の概要を説明している。「通報者は芸能ビルの管理者、オスカー・べリエ。向こうの(と言ってゴナン副線長は小窓の横に佇む小柄な老人を指差した)萎れたような男です。通報があったのは今日の午前7時30分。簡易検死の結果、死亡時刻は昨夜10時から日を回って1時までと推定されています」 「関係者への取り調べは済んでいるようだな。マックスが存命時、最後に目撃されたのは?」 「昨夜の7時です」 「なるほど。で、凶器は?」 「それなんですが……」ゴナン副線長は、いかにも不可解だ、という表情で、証拠品用のポリ袋にパッケージされたモノをウェイドに手渡した。「これなんですけれども」 「これは……」受け取ったウェイドも副線長同様、不可解な表情を示した。「ノートパソコンじゃないか」 「そうなんですよ」ゴナン副線長は、部屋のど真ん中、ガラステーブルの上に突っ伏している死体に目を遣ったあと、室内をぐるりと見渡した。「この待合室には、見てのとおり、弓、ロープ、鍬、ライフル(M1903)、消火器というふうに、危ないものがたくさんあるのですが――」 「つっこみどころ満載の部屋だな」 「問題は、犯人はどうしてよりにもよってノートパソコンを凶器として使用したか、なんですよね」ゴナン副線長は再び死体に目を向けた。「後頭部を合計10発。見てのとおり、外出血はありませんが、当てられどころが悪く、死亡したようです」 「そのPCの所有者は」 「被害者の物と判明しています」 「被害者の?」 「ええ。普段、被害者はノートパソコンを持ち歩くのを習慣にしていたことが多数の事務所関係者からの証言により判明していますので、昨日、この控室に持ち込んだのも被害者自身だと思われます」 「つまり、凶器が犯人の物でない以上、計画殺人の線は外れるか」ウェイドは顎に親指を当て、死体に一歩近づき、見下ろした。「突発的なものだということだな」 「その可能性が高いですね。経緯は不明ですが、マックスが控室に入る前、あるいは入った後、そこにはマックスのほかにもう一人の人物――つまり犯人ですが――がいて、なんらかの理由で二人のやりとりにこじれが生じ、殺意の芽生えた犯人がマックスを殺してしまったと、そんなところでしょうか」 「そして、いくら突発的なこととはいえ、ついカッとなった、というのとも少し違うだろう。感情的に暴れるタイプの殺意ではパソコンを手に人のバックを取るのは難しい。即物的な殺意ではあるが、それは極めて冷静なものだった、と考えられる。殺意が生じた後もそれを相手に悟られぬようひた隠し、隙やタイミングが出来るのを待ってから犯行に及んだのだろう」 「はい。とにかく犯人には明確な殺意があった、そう考えられるからこそ、この事件は不可解なんですよね――」 不可解な事件――。これほど刑事たちの推理魂を揺さぶるものはない。仮にも人命が失われている状況でこのような気分の高まりを感じることは不謹慎きわまりないが、この二人にそれを抑える術はなかった。 「何故なら、この室内には明確な殺意のあった犯人にとっては、実際に凶器となったノートパソコン以外にも、うってつけの物がたくさんあるからです」 壁にかかった弓、そのすぐ下にはご丁寧にも矢まで一緒に飾られている。反対の壁にはライフル、同じようにその下には弾。ライフルの横に立てかけられた鍬。出入り口の横隅に設置された消火器。そして、ガラステーブルの下の台座にはロープ。 「ロープか……。冷静に被害者のバックを取ることが可能だった犯人には、ロープで絞殺という手段も考えられたはずだ。にもかかわらず犯人はあえてそれをしなかった……何故だろうか」ウェイドはロープを手に取り、それをピンと張った。「人の首を絞めるのには問題ない長さだ」 「そのほかの凶器も同様です。犯人は冷静に被害者の隙を捉えるタイミングがあった。だから、ここにある全ての武器が選択可能だったはずだ。にもかかわらず、なぜ、よりにもよって殺傷能力の一番低いノートパソコンを選んだのか……」 「線長、あとついでに副線長」2人が頭を悩ましているところへ、若い捜査員が入って来た。「たったいま、被害者の正確な死亡推定時刻が判明しました。昨夜の11時から今日の午前1時とのことです。あと、PCに残された指紋は、被害者以外のものが数点ありましたが、残念ながら鮮明さを欠いており、証拠にはならないかと……」 「分かった。では、とりあえず、その時間帯にアリバイのない者をピックアップし、呼んできてくれ」ウェイドが指示すると、若い捜査員は頷き、いったん部屋を出て行った。 しばらくして、彼は4人の人物を連れて戻ってきた。「取り調べをした関係者たちのうち、事件当時のアリバイのない者が彼らです」 男が1人、女が2人、その他が1人。 「では、一人ずつ線長殿にこれから話を――」 「いや、その必要はない」容疑者たちを一瞥したウェイドは、若い捜査員を制し、4名の容疑者である中年の男、学生風の女、性別不明な若者、老婆のうち、中年の男のほうに迷うことなく歩みを寄せると、言った。「犯人は、あなたですね?」 なぜ、ウェイド・スキャウ線長は容疑者たちを一目見るなり、すぐに犯人を特定出来たのだろう?
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