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ビン・ボウ警部補の事件録・26『綺麗な薔薇には毒がある』
難易度:★★  
?空蝉 2013/07/04 03:13
 いかにも夏らしい、芯のある陽光が降り注ぐ中、ノリスク・ハイリータンは中庭の樹木に吊るされたハンモックから、いかにも気だるそうに半身を起した。たまたま思い立って日光浴にチャレンジしてはみたものの、体質に合わないせいか、どうも気持ち良いとは言えない。それどころか、体中の水分が汗となってだくだくと流れ落ち、危うく脱水症状になり兼ねないところだった。
「ご主人様」テラスの方から、若いメイドの声が聞こえた。「お夕食の支度が出来ました」
「ああ」ハイリータンは年齢の割に逞しい半裸をタオルで拭いながら、ハンモックから地へと降りた。「今行くよ」
 ノリスク・ハイリータン。類稀なる商才により、巨額の富を築き上げた、大手貿易会社の最高経営者。彼をその地位にまで至らしめたのは、努力や人望、あるいは社会貢献といった誠意的なものではなく、過剰なまでの自己利益の追及だった。
 幼い頃より、常に、自分にとり最も特となる選択を心がける彼にとって、他人の利や権利などは考慮に値しないものだった。
 自分第一。欲張り。そんな彼の利己的な心性は、ある時には犯罪的な手段にまでも及び、だがそれは決して公にならないよう、極めて精巧なやり方で行われたため、今日に至るまで法の手が彼のところへ伸びることはない。
 シャワーを浴び、バスローブ姿で食堂へ現れたハイリータンは、既にテーブルに着いていた客人達に二三言の簡単な挨拶をすると、メイドに椅子を引かれ、腰を下ろした。
 客人達はつい先ほど、ハンモックにいる時、ほんの思いつきで招待したのだった。携帯電話から、一人一人、片端から電話をかけた。断る者は誰もいない。皆、彼の会社にひざまずくことで利益を得ている、下請け中小企業の役員だったからだ。彼のいかなる意向にも反することが、将来的にどのように作用するか、よく分かっている連中だった。
 その日の晩餐は、ハイリータンを含め、全部で8人。
 メイドがワインを運んで来た。8人分、既にグラスに注がれた状態で、盆の上に載っている。最初は赤ワインの予定だったところを、先ほど、気分の問題で白ワインに変更させたのだった。
 メイドはまず主人たるハイリータンに盆を差しだし、彼はグラスを一つを手に取った。続いてメイドは順繰りに客人達を回り、彼らもそれぞれがグラスを手にしていった。
 全員にワインが行き渡ったところで、乾杯の声とともに、皆ワインを口にする。
 だが、そこで、ハイリータンの表情に変化が兆した。うっ、と一声、息を詰めたかと思うと、真っ青な顔色で一時静止した後、そのまま仰向けに倒れてしまった。
 突然の事に為す術なく硬直する客人達をよそに、メイドただひとりが、落ち着いた面持ちで、倒れたハイリータンに冷たい視線を送っているのだった・・・・・・。

<カルテルだ>ハイリータンの豪邸を出たところで、右耳に取り付けられたイヤホンマイクから、声が入った。<仕事は無事、完了したか?>
「ええ」ハイリータン家のメイド――だった女は、余裕を含む、涼しげな声で応じた。「たった今、解放されたところ。事情聴取は初めてだったけど、うまく切り抜けられた」
<そうか・・・・・・。それにしても、よく完遂出来たな。聞くところによると、『予定外』の出来事が二つもあったそうじゃないか。『唐突に招かれた7人の客』そして『唐突に変更になったワインの色』・・・・・・。>
「私も最初は焦った。本来なら、晩餐はいつもハイリータン一人でやっていたから、ワインは彼だけに注ぐ予定だったし、ワインだって、本当は赤を出すはずだったのに、あいつが突然、白にしろなんて言い出すもんだから・・・・・・」
<御苦労だったな。しかし、どうやったんだ?本来1つだけ出す予定だったワイングラスを8つ出す羽目になった。しかも、毒は、そのうちひとつにしか入れていなかったんだろう?さらに、ワイングラスは君が直接皆に配ったのではなく、皆が自分から盆のグラスを手に取っていった・・・・・・
「ええ。ハイリータンをはじめ、あの連中は、グラスを直に配られるのを嫌っていたから・・・・・・」
つまり君は、ハイリータンが、8つのグラスのうち、毒入りのグラスを自分から取るように誘導する必要があったわけだ
「でも、うまくやったわ」
<グラスに金でも浮かべてたとか?>
「冗談言わないでよ。下手な細工なんてしたら、変に思われるだけ。極めてさりげない方法でやる必要があったのよ。特に道具は使っていない。・・・・・・つまりあの時ね、私は・・・・・・(解答)」
<・・・・・・ほう!なるほど!奴にふさわしい手口だったな。では、ワインの色の問題についてはどうだ?確か、君が持っていた毒は、『赤い液体と一緒に混ぜられた時のみ毒性を発揮する』特殊な物だったらしいじゃないか>
「あいつはいつも赤ワインを飲んでいたから、当然、それで間に合うものと思っていた・・・・・・。だから、白ワインへの変更を頼まれた時は、ひやっとしたわ」
<でも君はやり遂げた>
「最初は、白ワインをグラスに注いだ後、その中に一滴だけ、赤ワインを入れて、それから毒も入れるつもりだったの。というのも、私の持っていた毒は、ほんの僅かな量であっても、一緒に混ざる物の中に赤い液体が含まれてさえいれば有効だから・・・・・・。でも、赤ワインはなかった。ハイリータンが、私にワインの色を変更するよう命じたあと、どこかに持って行ったらしくて・・・・・・。じゃあ、何かほかのもの、たとえばトマトジュースか何かがあればいいと思って色々探したんだけど、その日に限って何もなかったの」
<では、どうやったんだ?>
「だから私は・・・・・・(解答)」
<なるほど・・・・・・よく頑張ったな>
「ええ・・・・・・で、今回の仕事の報酬はいくらになるのかしら」
<ああ、それなんだが、後で私と海岸沿いをドライブ、私の華麗なるハンドル捌きを堪能後、高級イタリアンレストランにて夕食、その後は映画を見て、バーでほろ酔いのひと時を過ごす。そして、絶妙のタイミングで私から結婚指輪を受け取り、それから私の別荘で・・・・・・>
「報酬は、ちゃんとお金で払ってくださいね。でなきゃ、ぶっ殺すからな」
<・・・・・・こういうのを俗に、振られたと言うんだろうね>

 メイドの女は、
 @どうやって、8つのグラスのうち毒入りのグラスをハイリータンが選ぶように誘導したのでしょうか?
 A『赤い液体と一緒に混ぜられた時のみ毒性を発揮する』毒の効用をONにするために、どのような手段を講じたのでしょうか?
Answer「ハイリータンは、自分の利得しか考えない欲張りで、『幼い頃より、常に、自分にとり最も特となる選択を心がける』習性がある。だから私は、それを利用したの。・・・・・・そう、8つのグラスに注いだワインの内のひとつだけ、ワインの量を少し多くしたのよ。そこに毒を入れてあった。彼の習性からして、彼が他より量の多いワインを手に取ることは見えていたもの。あと、毒の作動条件の問題については、私が自分の指先をちょっとだけ包丁で傷つけて、血を一滴、ワインの中に投じることで解決したの」
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