「オリンピック、アメリカ大統領選、日本人のノーベル化学賞受賞……去年は色々ありましたね」
　僕がコーヒーを片手に言うと、上司であり人生相談にも乗ってくれる桂木刑事が頷いた。
「世界が滅亡するなんて予言も少し前にあったが、何事も無くて良かったよ。今年も平和な年を願おう」
「まあ、新年早々、殺人事件が起こっちゃいましたけど」
「なに、私たちでさっさと片付けようじゃないか」
　そう言いながら、桂木刑事は事件の調書を手にとった。


●事件の概要●
　１月３日、市内の一軒家で発生。
　被害者は女流作家の多喜川葉子。
　書斎で原稿を書いていたところ、頭部を強く殴られ死亡した。
　調査の結果、犯行時刻は午後５時ごろと見られている。凶器については後述。


●容疑者●

多喜川半太郎（たきがわはんたろう）
１９４７年１月８日生まれ。A型。葉子の夫。
事件が発生した時刻は自分の部屋でテレビを見ていたと証言。

魚崎円（うおざきまどか）
１９６８年５月５日生まれ。O型。葉子と半太郎の子供。
事件が発生した時刻は食事の用意をしていたと証言。

魚崎悠介（うおざきゆうすけ）
１９９３年６月２２日生まれ。B型。葉子の孫で円の子供。
事件が発生した時刻は自分の部屋でゲームボーイをやっていたと証言。


●備考●
・凶器に使われたのは蛇をかたどった陶器製の置物。
それなりの重量があり、非力な人間（女性や老人）では扱うのが難しいと思われる。
・犯行後、僅かな間被害者は意識があり『￥』に近い字を血で書き残した。ダイイングメッセージと見られる。
・蛇の置物はこの年の干支に合わせて被害者が前の年の１２月上旬に購入した。
・事件が起こった家には他に悠介の父親が住んでいるが、犯行時刻には買い物に出かけておりアリバイの裏付けもとれている。


【推理！】
事件の調書を読んだ桂木刑事はすぐに犯人を特定しました。
犯人の名前、犯人をその人物に特定できる理由を記入してください。