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ヒント知らないよ
このクイズの参加者(13人)
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難易度:★★
![]() ![]() この日、リキッド警察署に匿名の電話がかかってきたのは、正午をちょうど過ぎたころ、署員たちが、愛妻弁当やパン、おにぎり、カップラーメンなどの昼食をとっている中、ビン・ボウ警部補だけは懐から『あたりめ』を一本だけ取り出し、ひたすらに顎を動かしながら、満腹中枢をこれでもかといわんばかりに刺激している時だった。
「警部補、人が監禁されているそうです!場所はシヘイ公園裏にある建物の東側の一室とのことです。電話の主は不明ですが、話し方からしていたずらではないようです。至急、出動したほうがよろしいかと!」電話を受けたドルダカ刑事は、ビン・ボウ警部補に口早に伝えた。 「シヘイ公園か、そう遠くないな。分かった、中・流刑事と利子刑事は今日は休みだから、カネクレイ警部、一緒に同行願えますかな?」 「あのね、ボウ警部補。見てわかると思うんだけど、私、今、食事中なのよ」最近二年間に渡る有休から帰って来たコゼニー・カネクレイ警部は、近場のレストランに出前で注文したフレンチをデスクいっぱいに広げながら、不満そうに言った。 「失礼ながら、警部、人の命と悠長な昼食とではどちらが大事とお思いで?」 「昼食に決まってるじゃない。ただでさえ過酷な勤務についてるんだから、お昼ぐらいゆっくりさせてほしいもんだわ」二年間もの有休から帰ってきて間もない上に、次週から約一ヶ月のバカンスを予定している女警部は言った。「ボウ警部補ひとりで行ってきたらいいじゃん」 「いや、そういうわけには・・・・・・」 「仕様がないわね。今日だけよ。スープだけ飲むから十分ほど待ってて・・・・・・。あ、だめだわ。化粧も直さなきゃいけないからやっぱり一時間後ね」 「・・・・・・」 一時間後、ビン・ボウ警部補とカネクレイ警部は、シヘイ公園に到着した。表門を抜け、裏にまわると、二階建てで小ぶりの、薄らと汚れがかった白くて四角い建物が、人目を避けるかのように、樹木の影でひっそりと佇んでいた。 「たしか、東側の一室ということでしたな」 ビン・ボウ警部補の先導で、二人はそれらしき部屋の前にたどり着いた。案の定、鍵がかかっている。ビン・ボウ警部補が万能鍵を取り出し、ドアを開けると、中には男が一人、倒れていた・・・・・・。 十分後、応援がかけつけ、鑑識と、被害者の簡単な検死が行われた。 「被害者の身元は不明です。おそらく衰弱死かと思われますが、死んでから一時間前後かと」 「え・・・・・・一時間?」ビン・ボウ警部補は横目でカネクレイ警部のほうを見遣った。だが、彼女はどこ吹く風の体で、現場を悠々と見渡している。 「あまり広くない部屋ね。その上なにもない。電気どころか水道も、トイレも、お風呂も、窓すらないわ。いったいどうなってるの?この部屋は」 「まあ、少なくとも居住的目的で作られた部屋ではないでしょう。ドアに関しても密閉式のものでしたから、まるで監禁のために作られたようなもんですな。唯一あるものといえば、そのキャビネットぐらいですか」部屋の隅には、小さな木製のキャビネットがぽつねんと置かれている。 「ビン・ボウ警部補、カネクレイ警部!」円安刑事が二人の元へ飛んできた。「男を監禁していた犯人が捕まりました!」 「ちょっと、なんで警部の私より、警部補の名前が先に呼ばれるのよ」 カネクレイ警部から些細な文句が飛んだが、円安刑事は無視して続けた。「ひどいやつですよ。五日前に男を閉じ込めて以来、犯人自身はどこか遠くへ出かけていたそうで。犯行の経緯はこれから聴取しますが」 「ふうん・・・・・・。で、さっきあのキャビネットの上に何か置いてあったわね。何だったの?」カネクレイ警部がキャビネットのほうを見ながら訊ねた。 「それなんですが・・・・・・」円安刑事は、鑑識課員のひとりを呼び、革張りのノートを受け取った。「これです。監禁中、男が書いた手記と思われるものでした」 シャープペンシルが背についたそのノートには、およそ三十ページに渡り、整ったバランスの良い細かい字が、びっしりと並んでいる。 「なんだか、監禁中の苦渋に満ちた男の胸中が連綿と綴られているわね。可哀想に」 カネクレイ警部が手記を眺めるその傍らで、ビン・ボウ警部補はひとしきり首を傾げている。 「どうしたの?ボウ警部補」 「いやね、果たしてこの手記は本当に被害者の男が書いたものなのかどうか、怪しいなと思いまして」 ビン・ボウ警部補の推理とは?
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