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ヒント知らないよ
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難易度:★★
![]() ![]() 山の奥にそびえ立つ大きな洋館。見上げるたびに幾羽ものカラスが曇天の空の下を飛び交っている。
「え! 一二三さん!? うわぁ! ひっさしぶりなのになんも変わってないじゃんか! それに鳥川も! まあほらほら、風邪引かねえうちに中に入れよ!」 この館の持ち主であり僕の親友、串坂起人が出迎えて玄関へ誘い入れてくれた。 広い玄関口に入り、靴から用意されたスリッパに履き替えていく。 どうやら一二三さんの言っていた「行く場所」とはここのことだったらしい。 飾られている何十枚もの額縁の中には世界中の言語が揃っているのではないかと疑うほどの犯行予告の紙のコピー。 これだけで玄関の壁は見えなくなってしまっている。 全て合計したら五百枚は超えそうだ。なんて悪趣味な……。 これだけ全て犯行予告をして盗んだというのだから親友として誇ればいいのやら情けないやら……。 なんとなく日本語で書かれた犯行予告の紙に目が止まりじっくり読んでみる。 大陸妖物博物館へ こいつ、また挑戦的過ぎる予告状を送ってるな……。送られた皆様に心から同情する。 すると串坂のパートナーの小坂育俊、通称グロウも誰かが訪問してきたことに気付いたのか二階から寝癖のついた髪を掻いて階段を下りてきた。 「あれー? 探偵さんとこの島川さんじゃないですか―」 寝ぼけて……いるんだろうねぇ? 声にしたら間違えようのない言い間違えをしているぞ。 しばらくこの二人の出番が回ってきていなかったので、ここで少し説明を追加することとする。 さて、まず串坂とは十五年前に僕と同じく一二三さんに遭遇した大親友の事である。 その頃、どうやら一二三さんに読心術を習っていたようでなんと心が読めるらしい。 で、困ったことにこいつが、今をときめく大怪盗、通称スティックだったりするのである。 そしてそのパートナーが、僕の名前を言い間違え、故意か無意識かで発言したグロウ。 詳しいことは聞いていないが彼も怪盗に憧れているようで、大怪盗スティックの弟子という立場にいるようだ。 たしかお姉さん、小坂未絵もとい、 通称ホワイトがこの家に住んでいるそうだが、まだ寝ているのだろうか? とりあえず、大体こんな感じであるが分かってもらえたかな。 串坂の誘導のもと、一二三さんと僕と綾香、それにグロウの一行は リビングにたどり着きソファーに勧められゆっくりと全員で腰を下ろした。 「んーっとー。島川さんにー、ししょーのししょ―の一二三さんはいいとしてー? 鈴木綾香さんー? 島川さんの彼女ですかー?」 グロウの言葉に面食らって冗談言うなよ、そして俺の名は鳥川だと返そうとすると綾香が先に口を開いた。 「え、ああ、えっと……しゅ、主人、じゃなかった! し、島川さんがいつもお世話なってます!」 「へ?」 思わず綾香の顔を見つめる。主人? いつからメイドカフェに来たっけ、僕。 あと僕の名前は島川じゃなく、鳥川だってばさ。しばらく見つめているとまた顔を赤くして弁解する綾香。 「あ、あの主人というのはですね、その、ちょっと気が、早すぎてすみませんというか、なんというか……」 いやいや、それ違うから。 いつから事務所の専属メイドになろうと決意したんだねチミ。ぼかぁびっくりだってばよ。 続いて一二三さんと串坂の方を見ると やれやれ、これだから鳥川君は……とでも言うように見放し、僕には向けられていない同情のまなざしを綾香に向けていた。 ああ、なるほど。知り合いの女性に心配される僕は見放して、それでも心配する綾香には暖かい目が向けられているのか。 少しの間、はんば強制された自己嫌悪に陥る。 「まあその痴話話は独身の俺がむかつくだけだから、折りたたんでゴミ箱に捨てるとして。 俺と島川と一二三さんの三人仲間で昔話でもしようかとかそういう感じじゃなさそうだな」 「ああ、島川君はもはや僕ら独身の敵といえるからね……」 なぜだか串坂と一二三さんの冷たい視線も突き刺さった。 できれば生温かい目で見捨ててください。訂正する気さえ失せるばってんに。 「まあ冗談はその辺にしておいて、綾香ちゃん。悪いんだけどちょっとだけ席を外してほしい」 「ちゃんづけしないでください」 不服そうに頬を膨らませて抗議した。うわ、触ったら柔らかそうだな。プニプニ。両手で摘まんでた。 「ワワワ! ふぉ、ふぉふぉ、ふぉっふぇを、しゃわんふぁいふぇー!」 また顔を真っ赤にさせて抗議。やっぱ熱あるんじゃねーの。おでこをくっつけて熱を測る。 「か、かかかかかかか! かふぉがちかふぃー!!」 夕焼けの太陽よりも赤い顔でほっぺを掴んでいた指をついに振り切りリビングからも飛び出した。 ま、あれだけ元気があれば十分か。 綾香が戻ってこないことを確認して一二三さんがもう一度話を切り出す。 「さてと、実は少し串坂君、いや怪盗スティックの君に盗み出してほしいものがある」 持っていたお茶を飲み干し、一二三さんは今までとは違った真面目な顔をしてついに依頼を口にだした。 「単刀直入に言う、コマ―君の記憶を取り戻してほしい」
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