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難易度:★★★★★
![]() ![]() 「フ……、鳥川君もなかなかやるようじゃないか」 「それ程でもないですよ、一二三さん……」 お互いにニヤリと挨拶を交わす。久々にキマった。 そしてその横に不自然に積み上がったいくつものクイズの書かれたプレートの山を溜め息交じりに横目で見つめる。 ホントに、一体身体のどこにこんな量を隠していたのやら……。 腹に四次元ポケットでも直通されているのだろうか、この人。 「企業秘密だよ。仕組みを知ったら夢がないじゃないか」 「いい加減、いきなり人の心を読むのやめてくださいよ」 読心術を心得すぎだっての。 昔は不思議というだけでまあそんなのどうでもいいかという程度であったが、 今となれば不思議だろうと、とりあえず遠慮していただきたい。 「で、一二三さん。あれからどうしたんですか? もしかして記憶が戻ったとか」 すぐそばのベンチに腰を掛け直して約束通り、質問をさせてもらう。 「いや、それが全く駄目でねえ……。記憶もまださっぱりなんだよ」 笑いごとのように頭をポリポリと掻きながら一二三さんは僕の隣に座った。 十五年経っても戻らなかったか……。 この人はもしかしたら、もう記憶が戻らなくてもいいと思ってしまっているのだろうか? 自分の今までの記憶が全て抜け落ちてしまう闇の中の孤独。僕にはそれでも笑える一二三さんが分からない。 「笑いたいときに笑えばいい、泣きたいときに泣けばいい。なんて簡単に言う人もいるけどね、鳥川君。 それができないからみんなは悩んで悩んで一生懸命、闇の中を進むんだよ」 あーあ……。ずるいなあ、一二三さんは。 人の考えていることが分かるから医師よりも的確な心の治療を軽くやってのける。 これ以上、感慨に深けていると綾香が来た時には 顔がクシャクシャになってしまっていそうだったので僕は頑張ってベンチから一歩足を踏み出した。 「で、一二三さんは今は何をやっているんですか?」 「ああ、それがいろいろとあってねえ………」 何やらジャケットのポケットから何かを見つけようと ゴソゴソと音をたてながら、様々なものを一二三さんが取り出していく。 定期券、財布、文庫本、シャーペン数本、ドクターペッパーの缶、ミカンの皮、それにスーパーの袋、etc……。 なぜだか後半のほとんどがゴミだった。 これだけの量が入っているとは……やはり、四次元ポケットでも仕組んでいるんじゃなかろうか? この人。 するとポケットの中から何かのレシートが流れ落ちて僕の足元へ舞い降りた。 それをしゃがんで拾い上げて読み上げていく。 ドクターペッパーを五十缶にコーンフレークが十五箱。 大丈夫なのか、一二三さんの食生活。容易にコーンフレークにドクターペッパーを注いでいる一二三さんを想像できる。 あれ、よく見たら裏に何か書いてある。 それに気付きレシートを裏返して見ると、次のようなクイズが小さな文字で書かれていた。 ある日、ある株式会社の社内で殺人事件が起こった。
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