野球部の部室で、元野球部部長のＡが死体で発見された。
Ａは天井の梁に括られたロープで首を吊り死亡。
近くにはワープロで書かれた遺書も残されていた。
内容は、野球ができないことが苦で自殺する…というようなものだった。

Ａは部長として、同級生や後輩から慕われるよき人柄である。
甲子園の地に立つのも夢ではないとも思われていた。
そんな矢先――自殺の一ヶ月前――Ａは不運にも交通事故に遭った。
一命は取りとめたものの、肩にはケガが残り、腕は肩以上には上がらなくなっていた。
もちろん野球を続けることはできず、やむなく退部。
部長のそんな幕引きに誰もが悔しい思いをしたようだが、異論を唱える者はいなかった。

それでも諦めきれないＡは、ついに自ら死を選んだ。
警察は当初、そう結論を出そうとしていた。

しかしある不自然な点に気づき、引き続き捜査が必要だということになった。
さて、その不自然な点とは何でしょう？