四面楚歌
　
孤立無援で、味方が一人もいないこと。
　
　楚国の項羽が、漢軍により垓下にて四面を包囲された時、東西南北の至る所から楚国の歌が響いて来るのを聞いて、「漢軍の中から、我が楚国の歌が聞こえて来る・・・・・・。ということは、漢軍の中に楚国の人々が混じっているわけで、つまり、楚国の人々は皆、漢に降伏し、あっちに寝返ってしまったということじゃないか！ちくしょう！万事休すか！！」と嘆いたことが由来（だが実際は、歌を歌ったのは漢軍の連中で、項羽に、楚の人々が漢に降伏したと思わせるための策略だった）。

・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・

　―――今、私は漢軍の兵士達によって取り囲まれている。
　
　やがて、その中から楚国の歌が紡がれた。
　
　にもかかわらず、私は決して、自分の身が万事休すなどとは思わない。

　―――なぜだろうか？