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難易度:★★★
![]() ![]() 「・・・にしても快晴の極みだね、今日は」ビン・ボウ刑事部補は隣を歩く部下中・流刑事に上気な声を投げかけた。
「そうですね。最近、悪天候が続いてましたから」 「空気もすっきりしてるしな」 「ええ。警部補の財布の中と同じくらい、すっきりね」 「おいおい、それは禁句じゃなかったか?」 「そうでしたっけ?」 他愛のない会話を交わしているうちに行き着いたのは、立派な石門を前座に据えた、荘厳たる屋敷だった。家主は元裁判官のジャッジ・メント氏。ビン・ボウ警部補の大学時代の先輩だ。二人の休暇を捉え、今日、屋敷へ呼んだのだった。 二人は門を潜ると、玄関の呼び鈴を鳴らした。だが、返事はない。 「おかしいな」 二人の職務歴はだてではない。すぐに不吉な予感を感じ取り、玄関の扉を開くと、屋敷内へ入った(なぜか鍵はかかっていなかった)。二人は屋敷内の部屋を順に見て回ったが、やがて二階にある寝室のドアを押し開けた時、ベッドの上に、ジャッジ・メント氏の変わり果てた姿があった・・・。 仲間の警察官が駆けつけ、捜査が開始された。元裁判官の首筋には、絞殺の跡があった。争った形跡はなく、部屋はそれなりに整ったものだった。物書き用の机に、壁には絵画が数点、窓際の隅には花瓶の置かれた棚がある。あと、どういう趣味かは知らないが、セーラー服を着せられたマネキン人形まで置かれている。 被害者の死亡推定時刻は三日前の午前中と判明した。季節が冬なのが幸いしてか、遺体の腐敗度は極めて低い。 「警部補、これをみてください!」捜査が進む中、驚きつつ呼びかける中・流刑事の手には、一台のビデオカメラがあった。 「そいつは?」 「窓際の棚の上に置いてありました」 「意味深だな。・・・何か手掛かりになるものが映っているかもしれん。見てみるか?」 再生ボタンを押した。 映像は、寝室全体を捉えていた。そこにはジャッジ・メント氏の生前の姿があり、机で書き物をしている。部屋内に異常はない。その整った内装は、捜査中の犯行現場と同じ風景を映し出している。死体を除いては・・・。と、そこにノックの音。ジャッジ・メント氏は立ちあがると、おもむろな足取りで音の方まで行き、ドアを押し開けたが、途端、彼は物凄い勢いで後ずさり、ビデオカメラの設置された窓際の近くまで逃げるように移動した。ドアの開け放された先には、大男が立っていた。ジャッジ・メント氏が慌てふためく中、大男はずかずかと部屋に入り、ジャッジ・メント氏の襟首を掴むと、ベットに仰向けに引きずり倒し、斧を両手で高々と構えた・・・が、何を思ったのか、犯人は斧を下げると、ズボンのポケットから紐を取り出し、ジャッジ・メント氏の首を絞めた・・・。 映像はそこで途切れた。 「中・流刑事」見終わるや、ビン・ボウ警部補は視線を画面に据えたまま、呟くように言った。 「なんです?」 「どうやらメント氏は、今、俺達が捜査している部屋で殺されたんじゃないらしいぜ」 「え?・・・だって、映像にあった風景は、紛れもなくこの部屋の内装・・・」 「内装だけは似せてあるが、こことはまったく別の現場だよ。どういう手筈で撮ったかは知らんが、つまり、映像にある部屋こそが本物の殺人現場で、今俺達が捜査している部屋は、まったく別物。つまりフェイクの現場さ」 さて、ビン・ボウ警部補の推理の根拠とは・・・?
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