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ヒント知らないよ
このクイズの参加者(7人)
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難易度:★★★★
![]() ![]() うつ伏せになって死んでいる被害者を見ながら、青柳は顔を顰めた。殺人事件の現場に立ち会うのは、今回が初めてだ。
「赤城警部、これは刺殺ですか?」 「だな、さっき仰向けた時、腹に刺された痕が残っていた」 高級マンションの一室が今回の事件現場だ。リビングにうつ伏せになって死んでいた被害者の男を、友人が発見したらしい。その友人の証言によると、鍵が開いていたのだと言う。 「しかし警部、ダイイングメッセージって、本当にあるんですね」青柳は、被害者が右腕を伸ばしたその先、人差し指で書かれた『アイ』の文字を指差した。 「恐らく、被害者が最後の力を振り絞って書いたんだろうな」 その時、玄関から怪しげな男が入ってきた。「すみません、遅れました」 「おお! 結城、来てくれたか!」 「結城?」 「結城祐樹。いくつもの難事件を解決してくれた名探偵だ」 「ごめんなさい」結城祐樹は頭を下げた。「他人の指を切って遊んでいたので、遅れちゃいました」 ? これは何かのジョークだろうか? 「結城、このダイイングメッセージを見てくれ。これはどういう意味だ?」 「赤城さん」結城祐樹は質問には答えず、逆に訊ねた。「この部屋、良い位置にありますねえ」 「あ? あ、ああ。十階の南側に面している部屋だからな」 「上の電飾、綺麗ですねえ。埃が全くと言っていいほど積もっていない」 「被害者は綺麗好きだったらしい」 「そのばんそうこう」結城祐樹は被害者の右人差し指に巻かれているばんそうこうを指差した。「料理中に包丁で切っちゃったんですよね」 「ああ。この男性は、料理を作るのが得意だったらしい」 「机に置かれている砂時計」そこで結城祐樹は、何故かもの欲しそうに砂時計を眺めた。「高級そうですね」 「アンティーク店で買ったものらしい。七分間計れる。因みに、私たちが来た時には、この砂時計が何故か動いてたぞ」 「棚に置かれている雑誌。沢山ありますねえ」 「有名な週刊誌らしい。ただ、先月の雑誌だけは見つからなかった」 「なるほど」結城祐樹は何度も頷いた。「このダイイングメッセージは、偽装ですね」 「ええ?」青柳は素っ頓狂な声を上げた。「どうしてそんなことが分るんですか?」 「ん? 君は?」 「こいつは青柳。新米の刑事だ」 結城祐樹はにやけた。「青柳君、もしかして分らないの?」 ムカッ。「わ、分りますよ」 「では、どうして僕が、このメッセージが偽りだと思ったか、その根拠を説明してもらおうか」 「望む所です」 青柳は冷や汗を垂らしながら、もう一度現場を検証してみることにした。
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