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カラスと鳩のコインロッカー
難易度:★★  
?木有恵尊 2011/08/10 21:54
はほとほと困っていた。同じく、目の前にいるカラスもだ。
「おい、どうするんだよ」カラスが鳩に訊ねる。
「どうするって、そんなの一つしか無いだろ」鳩は肩を竦める。「ダイアルの番号を思い出すんだよ」
「めんどくさっ!」
「あのなあ」これ見よがしに溜息を吐く。「そもそも、こんな事になったのは、お前のせいだぞ」
何故二人が困っているのか。それは、数分前に遡る……。

生真面目な鳩は、予定より三十分前に、指定された駅のコインロッカー前に来ていた。
今回彼ら二人に頼まれた仕事は、コインロッカーに入れられているブツを、他人に見られることなく運ぶ事だった。
どんなブツかは知らないが、どうせいかがわしい物に違いない。
「よっ、お待たせ」
カラスが予定より十分遅れて、しゃあしゃあとやって来た。これもいつもの事だ。特に叱る必要も無いだろう。
「さあ、早くコインロッカーのダイアル番号の書かれた紙を、渡してくれ」
カラスの動きがピタリと止まる。「紙って、何だよそれ」
「依頼人に渡されただろ? ブツが入っているコインロッカーの番号が書かれた紙」
「知らねえよ、そんなの」
鳩は無言でポケットからヴォイスレコーダーを取り出し、再生させた。
『このコインロッカーの番号が書かれた紙は、俺が預かっておくぜ!』快活なカラスの声が流れる。
「ああ、そう言えばそうだったなあ」カラスは苦笑いをする。
鳩は溜息を吐いた。どうせ紙を無くしてしまったのだろう。これじゃあダイアル番号が分らない。
と、いうことで、二人は困っていた。

「駅員に開けてもらうとかはどうよ?」
「それじゃあ元も子もないだろ」
「0000〜9999まで、やってみるとか」
「時間が掛かりすぎる。ブツを渡す時間まで、後少しだぞ」
「え〜」眉を顰めながら、カラスは愚痴を言う。「やっぱり思い出さないと駄目〜?」
「当たり前だ。じゃないと、仕事失敗っていう事で、殺されるぞ」
「しょうがねえなあ」
うんうん唸りながら考えているカラスを横目に、鳩もチラッと見たダイアル番号を思い出そうと試みた。


                               カラスの記憶
「二番目と三番目の数は、どこか似てたなあ。それから、三番目の数は、四番目の数より下だったかも。あと、一番目の数は、6より下だったと思う」

                                 鳩の記憶
「一番目は確か偶数だ。二番目は素数。三番目は一番目より下で、四番目はそうだ、3だ。4は使われていなかった」
Answer2713
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