やあ、僕の名前は結城祐樹。しがない探偵さ。
今回君達に、ある殺人事件を解決してもらいたい。え？　「なんでお前が解かないんだ」だって？　面倒くさいに決まっているからじゃないか。まあ、今から事件の内容を言うね。

被害者はモデルの新田響子。死因は刺殺。即死だったらしい。死体は新宿区にある彼女のマンションで、夜九時に発見された。警察の調査の結果、死亡推定時刻は四時〜五時の間だと分った。その後、被害者に恨みを持っている容疑者四人を見つけたが、彼らは当日九十九里浜にいたことが判明。九十九里浜から新宿区までは約二時間かかる。それだと、彼らにはアリバイがあるんだ。
警察は彼らを容疑者候補から外したんだけど、どうも僕は納得出来なくてね。長年の勘ってやつだよ。
今から君達が容疑者の証言を聞いて、犯人が誰か当ててくれないか？


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ふられた青年の証言
「俺は朝の七時から夜の九時まで、海の家でアルバイトをしていましたよ。午後三時に店番を代わってもらって、三時間ぐらい浜を歩いていました。途中でポイ捨てをしている若者を見つけて叱りました。そして六時に店番に戻って、九時まで働きました。おかげで足がパンパンですよ。え、響子？　ああ、あいつが死んで清々していますよ」　　　　
　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二百万注ぎ込んだサラリーマンの証言
「え、その時間ですか？　ええと…。あ、そうだ！　十一時から一時まで部長達とバーベキューをしてました。その後は、一人でバーベキューの後片付けをしました。え、証明してくれる人ですか？　いませんけど、一時間掛けてちゃんと片付けてましたよ！　おかげで部長に怒られずに済みました。その後、五時に皆で集まって、帰りました。響子さんが死んだんですね？　あの人は他人を不幸にするから、良かったです」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　馬鹿にされた写真家の証言
「僕は友人と一緒に、朝から海の写真を撮ってました。友人は一時に帰っちゃいましたけど。え？　その後は一人でとり続けましたよ。ほら、見てくださいよ、この夕焼けの写真！　海に沈んでいく太陽が綺麗でしょう！　五時頃に撮りました。日にちは、ちゃんと事件当日の日です。響子さん？　あの人は僕の写真を馬鹿にしました。死んで当然です」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　不倫していた男の証言
「その日は家族で一日中遊んでいました。午後二時に近くの銀行でお金を下ろして、五時までこっそりパチンコで遊んでいました。六時に家族と一緒に海の家で夕食を食べました。え？　響子？　あ、あいつはわたしを裏切ったんです！　死んで良かったんですよ！　あの、刑事さん。妻には不倫のことをどうか内密にお願いします」