○月×日　善司　銅鐸（ゼンジ　ドウタク）宅
積まれた山を崩さずに器用に麻雀卓に突っ伏した被害者を殺人者は見下ろした。
「私が悪いんじゃない。お前が悪いんだ･･･。」
殺人者はわかっている。殺した自分が悪いことを。
ふと被害者が何かを握っていることに気づく。
「･･･麻雀牌か。自分にはつながりそうもないし、放っておくか。」
そう呟き、証拠になりそうなものを処分し始めた･･･

○月×日　善司　銅鐸（ゼンジ　ドウタク）宅　近所
「あー。いい写しねー。」
散歩･･･もといパトロール中にそんな事を呟いていたあやぽんデカのもとに無線連絡。
『善司　銅鐸宅で死体が発見された。詳細は不明。現場に急行すること。住所は○○町△△番地の××･･･』
「了解。すぐに向かいます。ってこの住所このお屋敷じゃない?こりゃきっと良い土地の番号の利ね。」

「すみませーん。警察のものですが、こちらで死体が発見されたということで来たのですが･･･。」
「お待ちしておりました。こちらになります。あ、私こちらで家政婦をしております、市川栄子と申します。」
あやぽんデカを出迎えたのは60歳くらいの女性。

麻雀の自動卓がある部屋に通される。床には仰向けに倒れた男性。
「私の雇い主の善司銅鐸様です。一人暮らしなので私がお世話をしておりました。
あ、実はご主人様はその麻雀卓に突っ伏していたのですが、もしかしたらと人工呼吸や心臓マッサージを施すために床に下ろしてしまいました。すみません。」※1
わかりましたーと返事をしながら死体を確認するあやぽん。
「後頭部から出席と欠席してるし、後頭部を殴打されたのが死因かしら。凶器はあのマグロの料金かしらね。血がついてるし重さもありそう。･･･あら？手に何か握っているわね。よいしょっと。」
手を開いてみると麻雀牌の発と中の２枚がその手に握られていた。
あやぽんデカが首を捻っていると玄関から声がした。
「お邪魔しますよー。」
というのんびりした声で入ってきたのは千　天坊刑事。名前はお坊さんみたいだが、れっきとした刑事だ。私の駄洒落をわかってくれるありがたい同僚だ。
「あら千君。早かったわね。ここ全自動卓があるのね。後ろが後ろめたいわ。」
「ああ、あやぽんさんも麻雀できるんでしたね。ただ、最新型ではないですね。配牌までとってくれるわけではなさそうですから。」
「まあ雀荘じゃないんだしね。ところで、被害者が発と中を握っているんだけど、ダイイングメッセージじゃないかしら。」
「うーん。容疑者につながればそうでしょうけど。後頭部を殴られて苦し紛れに２枚握って卓に突っ伏した、ってところじゃ？」
「･･･。それにしちゃ山は崩れてないのよね。綺麗に縦一列だけとってるのねえ。
そういえば市川さん。善司さんは麻雀でイカサマとかしてませんでした？」
「いえ。絶対ないでしょうね。イカサマは大嫌いで、牌に傷がついただけでも自分が牌の種類がわかっちゃうと新品に取り替えるくらいの方でしたから。」
「ふーん。となると･･･。ああ。このDM溶解したかも。」
「えっ？！このDMに意味なんてあったんですか？」
「まあ、多分だけど。意味があるならこうだろうな、ってのはわかったわ。」


問題
このダイイングメッセージはどんなメッセージとあやぽんデカは考えているでしょうか?

おまけ
駄洒落事件簿年配…じゃなかった恒例の駄洒落もいくつか入っています。
こちらは早い者勝ちでささやかずに一人おひとつどうぞ。
6つくらいだったような。（うろ覚え）


※1･･･救急車を呼ばなかったのは心臓マッサージや人工呼吸を施してもダメだったため、とお考えください。というかその記述がなかったのは私の抜かりです。（涙）