ヒミツ

その日、私はいつものように塾へ行った。しかし、今日はいつもと同じ日ではない。<br>今日は私が密かに思いを寄せていた『僕』の誕生日なのだ。<br>私は誕生日プレゼントにお菓子を作ってきていた。喋ったこともほとんどないが、これを機に仲良くなれたら、と思っていたのだ。<br>しかし、声をかけるのも恥ずかしくて、結局塾で渡すことはできなかった。あぁ、私はなんて気の弱い女なんだろう。そう自分を責めながらも、私は帰る準備をしていた。<br><br>だが、今日はいつもと違う日だったのだ。<br>『僕』の友達が今日は休みだったので、『僕』は一人で帰ることになっていたのだ。<br>これが最初で最後のチャンスだわ！やるしかない！<br>私は心の中で神様と友達に感謝しながら、『僕』の後を追っていった。<br><br>しかし、やはり声をかける勇気がない。あとほんの数メートルだというのに、それが私には富士山よりも遠く見えた。<br>その時だ。前を歩いていた『僕』が何かに気づいた。下をみているあたり、どうやら私の長い影に気づいたらしい。<br>どうかこっちを振り返って！<br>私は瞬時にかける言葉とプレゼントの出し方を頭の中で思い描いた。これでいける。<br><br>だが、あろうことか、『僕』は影に気づいた直後、足早に歩き出したのだ。まるで逃げるかのように。<br>お願い逃げないで！こっちを向いて！<br>心の中で叫びながら、私も足早に『僕』を追っていった。<br>涙をこらえるのに必死で、顔がくしゃくしゃになっていた。<br><br>その時、『僕』はピタリと止まって、ゆっくりとこちらを向いた。そこには顔がくしゃくしゃになった私がいた。その顔を見て、『僕』は恐怖さえ覚えたらしい。<br>だが、私の頭には既にイメージができていたのだ。<br>くしゃくしゃの顔のまま私は笑って「誕生日おめでとう。」そう言って、プレゼントを手渡した。<br>『僕』は最初驚いたようだが、頭を掻きながら照れくさそうに私に言った「あ・・・ありがとよ」。<br><br>それから『僕』の友達は、一緒に帰る人がいなくなってしまったという。<br>めでたしめでたし。

ヒミツ

「友達」でないですか？
友達と仲がよく、塾のプリントなどを友達の分もらっていて僕が持っているプリントを渡してもらえると思ったのでは？
トコトコついて来るのはアレですが、
「なんだ、お前だったのか」というのを期待します。

休んだ理由は、授業にちょうど遅れてしまったなどですかね？

ヒミツ