七月半ば。とっても熱い時期だが、今警察署では身も凍るような恐ろしい事件
が起きていた。
「よし、柳川。その通り魔事件について詳しく説明してくれ」
「はい、宗像警部。
被害者は安西京。２２のＯＬです。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　図１　　　　　　　　　　　　　
事件はこの十字路の真ん中で起きました（図１）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
安西さんは夜中の１２時にこの十字路の真ん中　　　　　　　　　　　　　　　　　　マンション　　学校　　　　　　　　　　　　　　　　　　
を歩こうとしたとき通り魔にあったそうです。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　事件　　　　　　　　　　　　　　　　
凶器は金属バット。頭を殴られたそうです」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　コンビニ　　　公園　　　　　　　　　　　　　
「意識不明じゃなかったのか？」
「いえ、少しは記憶は戻ったそうです」
「ふむ・・・。目撃者は？」
「ええと・・・北東の学校の教員、南東の公園の大学生、北西のマンションの男、
南西のコンビニのアルバイトの四人です」
「なんだ、けっこういるじゃないか」
「ですが・・・」
「なんだ？」
「その、証言が特殊で、ちゃんとした犯人像を見た人がいないんです」
「ほう、それぞれどんな証言をしたんだ？」
「この資料にまとめておきました」
俺は宗像警部に資料を渡した。
「ふうん・・・。なるほど」
「どうかしたんですか？」
「この目撃者の中にうそを言っているやつがいる。そいつをすぐにしょっぴいてこい！」
「？」
俺はさっぱり分からないけれどあんたは分かるかい？


　　　　　　　　マンション五階に住む男
「ええ、確かに俺犯人みましたよ。遠かったからよく分からなかったけど。
俺はベランダでタバコを吸っていながら空を見ていたんです。その時の空は
星がきれいだったなあ。おっと、話がそれた。だいたい時間は１１時５８分
ぐらいだったかな。俺が公園と学校の間の道をふと見たら一人の男、いや、
女だったかな？が歩いていたんだ。頭には帽子みたいなものをかぶっていて
手には細長い物を持っていた。多分それが金属バットだったんだな。まあ、
そのあと俺はすぐに部屋に入ったからそのあとのことはよくわからねえな」

　　　　　　　　学校の教員
「私は１２時２分ごろに西にある門から出ようとしたときガンッ！！ていう
にぶい音が聞こえたんです。なんだ？って思ってあたふたしていたそのとき
その犯人とぶつかったんです。私は眼鏡を落としながら犯人を見たんですけど、ぼやけてよく見えません
でした。いや、眼鏡みたいなものを顔につけていたかな？私は眼鏡をかけて見たの
ですけどもういませんでした」

　　　　　　　　公園の大学生
「ぼくは昼にこの公園で勉強をしていたんです。そのあと家にかえって勉強を
しようとしたとき筆箱を忘れたのに気づいて、公園に取りに戻ったんです。
そのときガラガラガラッていう金属音がしたんで道のほうを見たらその犯人が
左手に金属バットを持ちながら歩いていたんですよ。帽子をかぶっていて
顔にはサングラスをつけていました。そのあと３分ぐらいぼーっとしちゃって
周りが静かで逆に怖くなっていそいで家に帰りました」

　　　　　　　　コンビニのアルバイト
「１２時ごろあたしが掃除をしていたら外から「きゃーーーー！！」っていう
悲鳴が聞こえたんですけど、そのまま掃除を続けていたらこんどはガンッという
音が聞こえたんでさすがにおかしいと思って外にでたんです。十字路の真ん中に
行くと、女性が頭から血を流してうつ伏せで倒れていて、その近くに血だらけの
金属バットが転がっていました。マンションと学校の間の道を見たら人の後姿が
あって、その人は猛スピードで走っていきました。そのあとあたしはいそいでコンビニに戻って１１０番に
電話をしました」