俺は望月　光。高校一年の野球部員だ。
それにしても犬谷先輩、いや、犬谷のやろー！！
俺が少し遅刻したからって、夜まで倉庫の掃除をさせやがって！　遅刻ぐらい許してくれてもいいだろうが！
愚痴を零しながら俺がバットを整理していると、犬谷愛用のバットが出てきた。このバットの芯部分には星型の傷がついている。
ん？　まてよ・・・？　そうだ！　そうと決まれば準備開始！！

　　　　　　　　　　　　　　　翌日
俺は倉庫に向かった。予想通り野球部員全員がいた。よし、作戦開始！
「犬谷先輩、どうしたんですか？」
「おお、望月！　倉庫の中がおかしいんだ！　バットやグローブが床に散らかっているし、
倉庫の窓ガラスの破片が倉庫の外に散乱しているし、ドアは開いているし、そして、俺のバットが無いんだ！！」
しめしめ、そうとうあせってやがる！　バットは俺が隠したんだ。窓ガラスを割ったのも俺だし、散らかしたのもこの俺だ！　では、演技続行。
「そ、そうですか・・・」
「んん？　お前なにか知っているな？」
「じ、実は怪しい男がはいっていたんです」
「なに！？」
「はい。確かぼくが掃除を終えてトイレへ行こうとしたときです。そのときは丁度
８時でした。トイレを出て倉庫を見てみると黒いジャージとジーンズを身につけた
男が長い棒を使って窓ガラスを割っていたんです。そしてそのまま倉庫の中に。
ぼくは足音をたてずに倉庫に行きました。そーっと、ドアを開けて中を
見ました。どうやら男はドアが開いているのを気づかなかったみたいです。
男は周りをきょろきょろと見回していました。遠くからは気付かなかったんですかど
男は紺色の手袋をつけていましたよ。そしてその後、男はぼくが整理しておいた
バットやグローブをたくさん床に放り出して、残った一本を抜き出そうとしました。
そのとき男の背中が見えました。たしか・・・ｒｉｇｈｔ、て描かれていました。
すると男はそのバットを抜き出して割った窓ガラスから出ようとしました。そのバットを
よく見てみると星型の傷がついていました。そして、その男はそのままどこかへ行って
しまいました。先輩、すみません！　おれがそのとき止めていたら、こんなことには・・・」
くくく、こんな話は嘘さ！
「望月・・・」
お？　同情してくれるのか？
「お前、よくそんな嘘をしゃあしゃあと言えるな」
「へ？」
「お前の話には矛盾点があるんだよ。てめぇおれのバットをどこに隠しやがった！
あ、まて、望月！逃げるな！！」
俺は慌てて校庭から逃げ出す。
ど、どうしてわかったんだ！？