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ビン・ボウ警部補の事件録・K『毒殺犯の虚言』
難易度:  
?空蝉 2012/03/21 15:31
「・・・・・・にしても、まさかビン・ボウ警部補の自家用車で現場に急行することになるとはねえ」ビン・ボウ警部補がハンドルを握る傍ら、助手席に座る中・流刑事が言った。「だいたい、署のパトカーが全部故障って、おかしいでしょう」

「まったくです」中・流刑事に応じたのは、後部座席に座る利子増太郎刑事だ。「それにしても、ビン・ボウ警部補の車の劣化ぶりときたら・・・・・・。『ど根性ガエル』に出てくる南先生の愛車よりもオンボロですからねえ。これならまだ、歩いて行った方がマシです」

「まあ、しょうがないですよ。買い換えたり、修理したり出来るお金がないんだから」中・流刑事が、運転席に向けて憐憫の視線を送った。

「そうですね。そんな可哀想なビン・ボウ警部補に同情しつつ、車に同乗する部下二人。上司思いの良い部下に恵まれて幸せですね、ビン・ボウ警部補・・・・・・。ん!?同情と同乗・・・・・・やった!うまいこと言ったぞ!俺は天才だ!あっはっは!!」利子刑事が、子供のようにはしゃいだ。

(恵まれない部下を持ってしまった私は、不幸だ)ビン・ボウ警部補は、心の中でこっそり毒づいた。

 
 現場の屋敷に到着した三人は、テーブルの上にうつ伏せで倒れている、白髪の老人を目にした。老人の顔の右側には、飲みかけと思しきカフェオレの入ったコップが一つ置かれている。

「殺されたのはモラレ氏。77歳。インカム大学で社会病理学を教えている気鋭の学者です。死亡推定時刻は今から約5時間前。鑑識からの報告によると、カフェオレの入ったコップからは1ミリグラムの毒が検出されたそうです。猛毒で、少しでも体に入れば、数秒後には眠るように死に至るのだそうです。きっと飲んでいる途中に亡くなったのでしょう」先に現場に到着していた円安刑事が、三人に事件のあらましを伝えた。

「眠るように、か・・・・・・、わりと親切な効用だな。で、犯人は?」ビン・ボウ警部補が訊いた。

「それが、すぐに捕まったんです。あいつですよ」そう言うと、円安刑事は、ドアの隅に控えていた若者を引っ張って来た。「こいつがコップに毒を盛ったんです」

「話を聞かせてもらえるかね」

「けっ!」若者は捜査員一同に向けて悪態をついたが、ビン・ボウ警部補の鋭い眼光に気圧されたのか、仕方なさそうに語りだした。「俺はあのジジイの助手をやっていたんだが、野郎、なにかにつけてうるさかったんだ。んで、ある日、我慢できなくなって、奴のカフェオレに毒を盛ってあの世へやった。それだけだ」

「ふむ・・・・・・。まあ、動機については後でゆっくり聞くとして、犯行当時の君の行動を教えてくれ」

「なに、簡単なことよ。俺はあらかじめ毒を1ミリグラム用意しておいた。奴がカフェオレをコップに淹れて、研究資料を取りに言った時に、こっそりそれを盛ったのさ。それを飲んで、奴は死んだ。ただ、それだけさ。別に、あんたらが期待していたような、気の利いたトリックなんてのはねえよ。残念だったな」若者が嘲るように捜査員一同を見渡した。

「猫がいますね」中・流が、窓辺の張り出しに寝そべる猫に気付いた。

「ああ、あれはジジイの子猫ちゃんさ。ジジイは人嫌いで、いつも他人に対して頑なだったが、あの猫にだけは心を許していたらしい。いつもあれとじゃれていたぜ」犯人の若者は被害者の体に目を遣りながら、馬鹿にしたような口調で言った。

「ちょっと、いいですかな?」ビン・ボウ警部補が若者に言った。「あなたの話の中には、一部おかしいところがある。それを訂正して頂きましょうか」

 ビン・ボウ警部補の推理とは?
Answer「カフェオレ入りのコップからは1ミリグラムの毒物が検出されました。これは、被害者の死亡した後に見出された数値です。ということは、それに、被害者が飲んだ毒の量を加算すると、当然、1ミリグラム以上の値になるはずですよね。ところが、あたなは『あらかじめ毒を1ミリグラム分用意していた』と言った。もしあなたが1ミリグラム分の毒しか盛らなかったとすると、毒はちょうどその分量だけコップに残っていたことになり、被害者は毒を飲んでいないことになる。従って、死ぬはずがないのです。おかしいですよね。本当は、もっと多い量の毒を用意し、盛ったんじゃないですか?」
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