今波多　鳴海（いまはた　なるみ）
　永吉　麿子（ながよし　まろこ）
　小倉　美雪（おぐら　みゆき）

「なに？　このメモ。」
「このあいだ、内山さんの好きな男子の話を聞いたろ？
　お返しに、今日は　僕の好みの女子の話。」
「・・・。」
「最近、毎日のように、この娘たちに追い回されてるんだ。
　メガネに巨乳にロングヘアー。参っちゃうよ。
　『私たちのうちで、誰が好みですか？』なんて訊くんだ。
　それでね、暗号で返事をしようと思って考えたんだ。
　どうかな、よかったら意見を聞かせてよ。」

彼女が無表情に受け取った　第二のメモの内容は、以下の通り。

あしひきのやまとりのをのしたりをの　なかなかしよをひとりかもねむ

をくらやまみねのもみちはこころあらは　いまひとたひのみゆきまたなむ

わひぬれはいまはたおなしなにはなる　みをつくしてもあはむとそおもふ

「面白いと思うわ。」静かに、しかしハッキリと彼女は言う。
「もうわかったの？　さすがだね。」
「私は全部　覚えてるもの。でも、この女の子たちは
　こういうの得意なの？　どうして　わざわざこんな暗号を？」

何故って勿論、きみの得意分野を調べた上でのことさ。苦労したんだぜ。

「調べながら解いてもらうにしても、もう少しヒントが必要かも。」
「たとえば？」
「そうね・・・たとえば城田くんの場合なら・・・」

　城田　夏樹（しろた　なつき）

先程のメモの余白に　僕の名を書き加える。きれいな字だ。
「『城田夏樹のワニ出る』。『素敵な城田夏樹のワニ乗る』。
　・・・ル、る・・・ルワンダ。」
「・・・ふふふ、それがヒント？　なかなか面白いね。」
協力してあげてるのに笑うなんて、と不満げに　彼女は唇を尖らせる。
「ダメよね。だったら・・・」と、今度は自分の名前を書き添えた。

　内山　巽美（うちやま　たつみ）

「わが庵は・・・」
彼女は細い指を折って数えはじめた。が、まもなく頬を赤らめた。
「やっと気がついた？」　目論見は成功したようだ。
「・・・意地悪なひと。」大きな瞳が僕を捕縛する。


問題
　・「僕」が渡した　第二のメモを　解読してください。
　・「内山巽美の場合」について、彼女が頬を赤らめた理由とは？
　　　　　（かってに君は　漢字を使った表記で。）