ある冬の日、東京タワーからすぐのＰホテルの一室でアイドルの山岸ランが殺されていた。死体の発見者は山岸ランのマネージャーである大井朋子。
朋子は午前１１時から撮影予定の現場にランが姿を現さないので寝坊だと思いＰホテルに起こしにやってきたのだが
ドアには鍵が掛かっており、電話してもドアを叩いても返事がないので不審に思い鍵を開けてもらって中に入ってみるとランの死体があったのだった。
検視の結果、死因は胸部をナイフのようなもので刺されての失血死。小柄な山岸ランの死体の周りには血が飛び散っていた。
部屋は荒らされてはおらずドアの鍵はオートロック式であった。
鍵は部屋のテーブルの上にあり、テーブルには他に細長いパフェの入れ物と細長いスプーンが置かれていた。
被害者が死ぬ前に食べたのかパフェの入れ物の中には溶けたバニラアイスに少量のコーンフレークが残っていた。
死亡解剖の結果、胃の中にチェリー、イチゴ、リンゴ、ミカン、シャーベット、バニラアイス、ナタデココ、コーンフレークが残っていた。
その消化状態から食後２時間と推定された。つまり、パフェを食べてから２時間後に死んだということである。
このパフェは事件当日にマネージャーの朋子がＰホテルのランの部屋に運んだものだと分った。
朋子は電話でランから東京タワーの２階にある「ぷくまん」の東京タワーパフェが食べたいので持って来てと頼まれ運んだらしい。
電話があったのは午後５時４０分ごろ。声はラン本人の声だった。午後６時に部屋にそのパフェを持って行き、ラン本人が受け取った。
ドア先で受け渡ししただけなので客が来ていたか不明。（「ぷくまん」はパフェのテイクアウトができる店であった。）
朋子はＰホテルの近くのビジネスホテルにスタッフと一緒に泊まっていた。朋子がその日にランと会ったのはその時だけだった。
朋子の協力により部屋を検査したところ、ランの服が一着と鞄がなくなっていることが分った。
部屋の床には、なくなった鞄の中身がばら撒かれていた。部屋には他に証拠になるようなものは一切なかった。
指紋は部屋からはランとホテルの従業員のものが、パフェの入れ物からはランのものと朋子のものと思われるものと「ぷくまん」の店員と思われるもの（ランの指紋が上から多く付着しており判別困難）以外は検出されなかった。
また、朋子が死体を発見したとき室内が異常に寒かったらしい。
それもそのはずクーラーがつけっぱなしだったのだ。この室内の温度のため正確な死亡推定時刻はわからなかった。
また、死体発見時、部屋の電灯は点いたままだった。ランは事件当日の午後５時にチェックインしていた。
動機またはアリバイの線で捜査したところ容疑者が３人に絞られた。

　松村なすび…お笑い芸人で太った体躯が笑いを誘う。山岸ランから、いつも「デブ」と罵られ腹を立てていたらしい。
　　　　　　　事件当日はずっと家におり、証人がなくアリバイがない。
　桂木　貴子…山岸ランの所属しているプロダクションのアイドル。ランと同じく小柄で同期で、しかも同い年。
　　　　　　　いわばライバルであった。なにかある度にランと比較されランの存在を不満に思っていたらしい。
　　　　　　　事件当日は午後３時から午後７時までドラマの打ち合わせがあり、打ち合わせ場所からＰホテルまでは
　　　　　　　車で４５分ほどかかる。つまり、午後７時４５分ごろ以降のアリバイがない。
　内田　祥子…山岸ランの前のマネージャー。小柄で行動力もありランのお気に入りだったのだが、ランのわがままに
　　　　　　　我慢できずに辞めた。その腹いせにランが裏で手をまわしマネージャーの仕事に就かせなかったらしい。
　　　　　　　事件当日は午後７時半から飲み会に出席して夜通し遊んでいた。飲み会の店はＰホテルから３０分ほどかかる。
　　　　　　　午後７時半前のアリバイはない。

山岸ランを殺害したのは容疑者のうち誰でしょうか？
※人名や地名など実際のものとは一切関係ございません。
穴や説明不足があるかもしれませんが、よろしくお願いします。

季節が冬であることを問題文に足しました。指紋について問題文を修正しました。２００７年２月１１日９時４４分