東京都あきる野市で、どんぐり食品株式会社の社員寮としての木造１階建てから火が出てほぼ全焼した。
火は４０分ほどで消し止められたが焼け跡からどんぐり会社の社員である藤田正人の遺体が見つかった。
火災調査官の調べでは出火原因は藤田正人の部屋の床にガソリンが撒かれてライターで着火し燃え広がったという。
そして現場のすぐ横から青色のポリタンクが発見された。
そのポリタンクは容量３リットルで中に約１リットルほどガソリンが入っていたことから
部屋に撒かれたガソリンの量は約２リットルと推定され火事の規模と一致した。
藤田正人は単身赴任で一人暮らし。月に一度は必ず京都の実家に帰っていた。
そのためか藤田正人の部屋は最低限の生活に必要なものしかなく
燃え跡からは着火に使用した焦げたライター以外に証拠になるようなものは何も発見されなかった。
聞き込みの結果、藤田正人の同僚から藤田正人の死ぬ数日前に保険証が紛失していたこと、
サラ金からの請求書に困っていたこととの情報を得た。
刑事Ａ「藤田正人が借金を苦に自分で部屋にガソリンを撒き火を点け自殺したのですかね？」
刑事Ｂ「いや、他殺ですよ。自殺ならポリタンクはガソリンが撒かれた部屋にないと不自然だからね。」
司法解剖の結果、藤田正人の遺体から睡眠薬が検出された。死因は一酸化炭素中毒。
刑事Ｂ「藤田正人は同僚に金に困っている。いくらか貸してくれって話してた訳じゃないんだろ。
サラ金からの請求書に困っていたのは見覚えがなかったから困っていたんだよ。つまり、
誰かが藤田正人の保険証を盗みそれを利用して藤田正人名義でサラ金から借金し返済を免れる目的で
放火殺人を行ったんだ。お粗末な偽装工作で自殺したと見せかけてね。」
その線から捜査した結果、はやくもアリバイの無い容疑者が３人に絞られた。
　藤田寿人（フジタヒサト）…藤田正人の弟
　杉山孝則（スギヤマタカノリ）…藤田正人の同級生
　高橋康樹（タカハシヤスキ）…どんぐり株式会社の社員（藤田正人の上司）

<藤田寿人の事情聴取>
実家の藤田家の向かいに住む藤田正人の弟の藤田寿人の家を訪ねた。
寿人は首にマフラーをして、手袋をした手を揉みながら寒そうに出てきた。
「兄はかなりの頻度で実家に帰ってきてましたので往復の運賃がかさみ、お金には困っているみたいでしたよ。
　時間が合えば僕が車で送ってあげてたのですが…」

<杉山孝則の事情聴取>
藤田正人の中学の同級生である杉山孝則の家をを訪ねた。家は清水寺の近くで孝則はガソリンスタンドで働いていた。
孝則はジグソーパズルをしている手を止め話した。
「ええ、卒業しても正人とはよく遊んでいましたよ。東京の社員寮にも遊びに行ったりしてましたけど…」

<高橋康樹の事情聴取>
どんぐり食品会社へ藤田正人の直属の上司である高橋康樹を訪ねた。
康樹は工場での仕事を中断し、食品衛生のため作業着に帽子、マスクに手袋をして出てきた。
康樹は帽子とマスクを外して話した。
「藤田君は真面目な人でした。私の家が社員寮の近所なものですから藤田君を呼んでよく将棋を指しましたよ。
　藤田君は振り飛車党でした…」

３人の容疑者のうち誰が放火殺人をしたのでしょうか？

※地名や人物名など実際のものとは関係御座いません。
説明不足や穴があるかもしれませんが、よろしくお願いします。

徴収→聴取　問題文を修正しました。２００７年１月１日１０時２７分。