2003年8月24日日曜日。
会社経営者の湾満納奴（わんまんなやつ）が会社の社長室で殺害された。
死亡推定時刻は20:30ごろ。死因は心臓を刺されての失血死。凶器のナイフは現場に残されていたが、指紋は検出できなかった。
被害者は生前から評判が悪く、社員から多く陰口を叩かれていたという。

この犯人を見付けるために捜査一課の武者小路警部が立ち上がった。
警部は現場が社長室であるということ、社長が正面から刺されていることから、犯人は顔見知りの社員であると断定した。

以下は警部がリストアップし、聴取した人物のアリバイについての発言をまとめたものである。

■五月あい（さつきあい）：経理
　『私はその時間はサッカーの試合を見に行っていました。ええ、ひとりでです。そういえば…後半15分ぐらいでしょうか。私の前にいた男性が急に倒れたんですよ。あれはきっと応援しすぎたせいでしょうね。』
■如月睦夫（きさらぎむつお）：営業
　『僕はその時間野球を見に行ってました。はい、ひとりで。試合序盤は勝ってたんですが、８回でひっくり返されまして…。せっかく天王山だって言うのに参りました。実況も相手びいきで。まったく腹が立ちましたよ。』
■青葉弥生（あおばやよい）：庶務
　『私はその時間ボクシングを見に行ってました。はい、友人が急に来れなくなってひとりでした。私の兄が出場してましてなんとか勝ちました。相手も強かったんですけどねー。第３ラウンドでゴングに助けられた部分もありました。また、セコンドの皆さんには本当に感謝しています。』
■葉月基夫（はづきもとお）：係長
　『僕はその時間バレーボールを見に行ってました。ひとりですよ？負けたら優勝は絶望的になるところだったんですが、なんとか首の皮一枚つながりましたね。そういえば…第４セットで会場が停電して３分ほど真っ暗になったんですよ。会場は軽いパニックでしたね。』

いずれのスポーツの試合も18:30〜21:30に間に行われている。
一見全員のアリバイは成立したようだが…。
武者小路警部は聴取後、すぐにひとりを重要参考人として任意同行した。

さて、武者小路警部はどのように犯人を見抜いたのでしょうか？そしてそれは誰なのでしょうか？