私の名は、小野田謙吾。Ｓ県警の警部補である。
今日は最近起こったある事件を紹介しよう。
あるマンションで、男性の刺殺体が発見されたとの一報があり、我々は現場に急行した。
被害者は、九戸駿二（２５）。高校の音楽教師だ。
まず被害者の部屋に入ると、ずいぶん争ったような形跡が残っていた。
テーブルの上にあったのであろう食器はさまざまなところに飛び、食べ物もぐちゃぐちゃ。テレビのリモコンも電池ケースのふたが飛んで電池が飛び出ていた。
寝室に入ってもベッドの上の布団がかなり乱れており、血痕が血溜りのようになっていた。どうやら被害者は争った末、ベッドの上で刺されたらしい。
またベッドから血が破線のようになっており、それはパソコンの方に続いていて、そこで被害者はキーボードに顔を突っ伏して死んでいた。そのパソコンは寝室内にあったため、返り血と思われる血がディスプレイに付着していた。
そこで私は、後輩の花野道夫刑事から報告を受けた。
「被害者はどうやらベッドの上で加害者に刺され、そのときにちょうどパソコンを起動していたのでパソコンにダイイングメッセージを残したようです。そのダイイングメッセージらしきものがこれなのですが・・・なかなか解読できずに困っていて・・・」
私はパソコンのディスプレイを覗き込んだ。


　３１　５２　３２　３３　９１　４１　３２　１３

　あなたの■■を見てくれ・・・この謎を解いて犯人を見つけてほしい


（■の部分は血痕が付着していて見えないところです）

・・・なるほど。
ウィンドウをスクロールすれば血痕で隠れているところが見えるかと思ったが、どうやらスクロール出来ないウィンドウらしい。
私は再び花野刑事から報告を受けた。
「容疑者が何人か割り出せたようです」
私は容疑者リストを手に取った。

　矢木隆司（２３）
　被害者の大学の後輩。被害者に５０万円を借りたが、返済を迫られ苛立っていた。
　
　赤石要一（２４）
　被害者の幼馴染。しかし最近は被害者の言動に反感を持つようになり、ひそかに殺意を持っていた。
　
　篠田雅夫（２８）
　被害者の同僚。被害者が赴任する前は学校でアイドル的存在だったが、被害者が赴任してからは女子生徒が被害者の元に行き、ほとんど相手にされなくなったために恨みを抱いていた。

　今野美樹（１８）
　被害者が勤務している高校の生徒。被害者にあこがれて、ストーカーすれすれの行為をしている。被害者を自分だけのものにしたいと思っていた。

私はパソコンのディスプレイを睨み、考え込んだ。・・・・・・そうか！犯人はアイツだ！私は花野刑事にすぐ裏をとるように指示した。