Re: 紀伊賀家の家訓 ( No.97 ) |
- 日時: 2007/03/29 22:49
- 名前: Yossy
- では、正解発表です。文字数の関係で二つに分けています。
「渉君にはもう見えているようだから、解説は任せるわ。」と摩耶が口を切る。
「六条は明らかに『困ったときはこの謎を解け』という指示のために付け加えられたもののような気がするね。それに、五箇条の家訓と言われて来たのだから、謎は一条から五条までに隠されていると思うんだけどね。」
「じゃぁ、『ごぎょう』の家訓と言われていたというのは?」と早苗が尋ねる。 「五行思想のことだと思うよ。」 「五行思想?」 「万物は木・火・土・金・水の 5 種類の元素から成るという、古代中国の思想のことさ。」 「それとこの家訓とどういう関係が…?」 「五行の家訓は『一から五まで五行に分けて書かれた家訓』という意味だと勘違いされ、条文中の5箇条の家訓と同義だと思われたために、いつの間にか5箇条の家訓と言われるようになってしまったんだと思うな。」 「ということは?」 「五行は暗号を解く鍵で、『5箇条の家訓を五行を鍵として解け』という意味だろうな。」 「じゃ、木・火・土・金・水が鍵ということ?」 「それがそうじゃないみたいなのよ。」と摩耶がちょっと口を出す。
「うん、一から五条のうち四条も他の条文と違って家訓という言葉が出ているね。そのなかに『兄弟力を合わせ』という言葉がある。実はこれも古い中国の思想に陰陽思想というのがあるんだけど、ここでは『兄弟』は『陰陽』を意味するんだ。
陰陽思想は、世のなかの事象がすべて、陰と陽という対立した気で世界ができあがっていると考える思想なんだ。 そして、陰陽思想と五行思想との組み合わせによって、陰陽五行説が生まれ、より複雑な事象の説明がなされるようになった。その基本は五行の木・火・土・金・水がそれぞれ陽と陰、つまり兄(え)と弟(と)に分かれて甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の十干で表される。これは万物の栄枯盛衰の繰り返しにおける各段階も表していると言われているから家訓に使うにはピッタリかもしれないな。」
五 行 陰 陽 十 干 読み方 木 陽 甲(木の兄) きのえ 陰 乙(木の弟) きのと
火 陽 丙(火の兄) ひのえ 陰 丁(火の弟) ひのと
土 陽 戊(土の兄) つちのえ 陰 己(土の弟) つちのと
金 陽 庚(金の兄) かのえ 陰 辛(金の弟) かのと
水 陽 壬(水の兄) みずのえ 陰 癸(水の弟) みずのと
「渉さん、ホントによく知ってるのね。」と早苗が感心している。
「兄弟と五行が組み合わさって『陰陽五行』か。ということは鍵は甲・乙・丙・丁…の十干ということ?」 「そういうことになるね。」 「で、その先は?」
「十干の甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸を含む漢字を条文から拾って見ると…
一条…頂・己・乞・押・任 二条…盛・成・壬 三条…改 四条…なし 五条…病・迄・乾・威 六条…なし
となるね。」 「廃は癸じゃないの?」 「発と癸は違うからね。この辺りは紛れを求めている暗号らしいね。」 「なるほど…!」
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