 nothing ( No.19 ) |
- 日時： 2006/10/19 01:06
- 名前： T
- 解答編
部下「なぜヨウコが犯人なんですか？」
警部「密室殺人を行なう理由ってなんだい？」
部下「今回なら自殺にみせかけるためですよね？」
警部「そう、だがそう考えると不可解な事がある。
何故犯人はダイニングで刺したのか？
密室殺人を計画していたら普通部屋で殺し、密室にしてでていくだろ？
そもそもダイニングで殺して部屋に連れていって密室にするのはおかしいんだよ。」
部下「なぜです？」
警部「被害者は部屋の中でのたうちまわっていた。
つまりすぐに死んだわけではないんだ。
君はダイニングで刺した後、まだ生きている被害者を
強引に部屋に連れていき、のたうちまわってる被害者を眺めて
その上で密室にして出ていったと思うかい？自殺に見せ掛けるために。」
部下「なるほど。確かにおかしいですね。」
警部「つまり犯人は密室殺人を計画してやったわけではないんだ。」
部下「わかった！犯人はダイニングで刺した。
しかしまだ動ける被害者は犯人から逃れるために
自分の部屋に逃げ込み鍵をかけたんだ。そしてそのまま絶命した・・」
警部「その通りだ。そう考えれば密室だった事、
被害者がダイイングメッセージを残していた事の説明がつく。
そもそも犯人は容疑者達と面識はないからヨウコとかけるはずもないしね。」
部下「でもそれじゃヨウコが二人いますがどっちかわからないですよ。
本当は中島が菊池達より後にきていたが、偽ってもっと前にいたと証言してる恐れがあります。」
警部「いい所に気付いたね。犯人ならば本当の証言をしたか偽りかはわからない。
謎を説く鍵はそのまま『鍵』だね。」
部下「鍵、ですか？」
警部「そう、玄関の鍵だよ。ヨウコ以外が犯人から外れるとして
残りの男性の証言を思い出すんだ。
最初の発言者は鍵を開けてもらった、と証言していたね。
つまり被害者は一人でいる時に鍵をかけておく人だったんだ。
…まぁ当たり前な事だが結構重要でね。
そうすると中島が犯人だとちょっとおかしいんだよ。」
部下「と、いうと？」
警部「被害者は普段鍵をかける人、だが愛人がいるはずの時間は
鍵がかかってなかっただろ？来客の存在と時間から考えても
川島と菊地が同じ時間にあの場所にいたのは間違いないだろう。
人に知られたくないような人がいるならなおさら開けっ放しなんておかしくないかい？」
部下「確かに、言われてみればおかしいですね。」
警部「中島が犯人だとすると菊地の証言は正しい事になるが、
そうすると鍵が空いているのはおかしい。
だが菊地が犯人だったら鍵が空いていた説明がつくんだ。」
部下「なぜです？」
警部「ダイニングで刺した後、被害者に部屋に逃げ込まれた。
じゃあ中で死んでるだろうから自殺にみせかけよう、と
床の血を拭き始めると思うかい？」
部下「いやまさか！死んだかもわからないのに考えませんよ！」
警部「そう、犯人も逃げ込まれて焦ったはずだ。
しばらく出てくる気配がなかったので犯人は生死を確認する必要があった。
玄関を開けて窓からね。そして死んでる事を確認すると
自殺にみせかけられるんじゃないか？と考えた。
そして戻ってダイニングの痕跡を消したんだよ。
玄関を開けた時に鍵があいたのさ。」
部下「なるほど。つまり窓に確認に行っている時から
ダイニングの痕跡隠しの最中までにCDを返しにきたっていうわけですね？
それなら鍵が空いてても不思議じゃないですね。さっそく重点的に調べてみます。」
しばらくして菊地は殺人事件の犯人として逮捕された。
状況を説明したらすぐに自供したらしい。事件は解決した。
警部「犯人のミスはダイイングメッセージに気付けなかった事と来客者の存在を喋ってしまった事だな。
確かにダイイングメッセージがなかったら自殺と判断して
ダイニングの痕跡に気付かなかったかもしれない。
メッセージに気付いていたら自殺と見せ掛けようとは思わなかったろうな。
そのまま逃げていたら誰が殺したか推測するのは困難になっていただろう。
致命的なのは自殺と判断すると思っていたためか、
安易に来客者の存在を喋ってしまった。
それが矛盾を表し自分を追い込む結果となった。」
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