霧野幽介の事件ファイル1***解答編 ( No.16 ) |
- 日時: 2006/03/24 17:45
- 名前: S
- 僕が正解発表しようとすると、なぜか客足が途絶えます
 解決編です。 *********************** 謎解き
幽介がなかなか答えてくれないので、私は、幽介の家の黒猫―クロウと遊びながら待つことにした。 10分ぐらいたって、幽介が動いた。 「雫ちゃん、今、雫ちゃんの家に警部いる?」 謎解きをするつもりなのだろう。私は、うなずいた。
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「では、今回の誘拐事件の話を聞き、僕が考えたことをお話します」 場所は私の家。いるのは、私と、お父さんと、部下の石川刑事だ。 「誘拐犯は、投げ込むようにと指示を出しています。それはなぜか?」 誰も答えられない。幽介が、話を続ける。 「簡単な事なんです。誘拐犯は、車の中を見られたくなかったんです。なぜなら、車の底に穴があったから。 その穴から、マンホールの中に現金入りのバックを落とし、回収したんです」 そうだ。お父さんも、車はマンホールの上に止まっていたと言っていた。 「でも、幽介くん。義男くんは、ずっと犯人と一緒だった、っていってるんだよ」 石川刑事が疑問を口にする。 「お前は馬鹿か!共犯者がいたんだよ」 お父さんが、同意を求めるために幽介の顔をみる。 「そういうことです。 僕が考えたのはここまでです。あとは僕にはどうしようもできないので、警部たちで頑張ってください」 幽介の謎解きを聞いて、お父さんたちは納得してるみたいだけど、私はまだ納得できない。 これじゃまだ、幽介が謎解きを渋った訳を説明できない。 「それじゃ」 ヤバイ、このまま帰るつもりだ。 「幽介ごめん。忘れ物したんでちょっと取りにいかせて」 有無を言わさず私はついていった。
*********************** 真実
「幽介、本当の謎解きをして」 今いるのは、幽介の家だ。 「してもいいんだけど…雫ちゃん。誰にも言っちゃだめだよ」 幽介の迫力に負け、私はうなづいていた。 「では、僕の考えたことをお話します」 謎解きが始まった。 「最初に僕が不思議におもったのは、誘拐犯が、警察への連絡を止めなかったことなんだ」 言われてみると確かにそうだ。ドラマなんかで定番の『サツには知らせるな。知らせたら子供の命はないぞ』っていう台詞がなかった。 「このことから、僕は誘拐犯が警察に来てほしかったんじゃないか、と思ったんだ」 幽介の言っていることはわかった。でも、警察に来て欲しいと思う誘拐犯なんているの? 「その点についても今から説明するよ。 警察に来て欲しかったのは、お金を用意してもらうためじゃないか、と考えた。ということは逆に考えて、杉田家にお金がないのも知ってたんじゃないか、と思ったんだ」 幽介はああ言ってるが、わざわざ、お金のない家を狙う誘拐犯がいるとは考えにくい。 「僕もそう思ったよ。だから、よく考えてみたんだ。すると、一人嘘をついている人がいることに気が付いた」 ここでいったん言葉を切る。 「義男くん―杉田さん家の息子だよ」 そう言われても、私にはわからない。 「義男くんは、セミさんがうるさかった、と証言している。でも、これはおかしいんだ。 リフレッシュランドは、二年前にできた人工島に建ってる。ということは、まだ、セミがたまごを産んでも、幼虫のままで成虫になってないはずなんだ。つまり、リフレッシュランドでは、セミの鳴き声は、うるさいくらい聞こえないはずなんだ」 ここまで言われてやっと気づいた。つまりこの誘拐事件は― 「そう、狂言だよ。動機は借金返済のため。 たぶん実行犯は、一回も登場してないお父さんじゃないかな。義男くんは、ある程度時間がたつまでどこかに隠れてたんだと思う」 「幽介、早くお父さんに知らせないと―」 そういえば幽介は、謎解きをなかなかしようとしなかった。なんでなの? 「杉田さん家も、友人の保証人になって借金を背負わされたんだし、かわいそうになって…」 それも一理ある。でも安川警視が… 「それなら大丈夫。多分脱税してたのは安川警視だよ」 驚くことを、平然という幽介。 「だっておかしいだろ。見ず知らずの人が誘拐されただけで―だけってのもあれだけど―、いきなり一千万円もの大金は、普通ださないよ」 これで謎解きは終わり、そう言って幽介は、また本を読み始めた。 〈fin〉 *********************** いかがだったでしょう? このスレに感想や、次回作の希望など書き込んでいただけたら幸いです。 次回の作品は、幽介でいくか?スモークでいくか?それとも別のシリーズでいくか?全く決まっていません。
あつかましいお願いだと思いますが、よろしくお願いします。
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