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■ コメント ( No.89 )
日時: 2015/10/20 15:22
名前: s_hskz

 
つたない表現になりますが、眠り姫プロジェクトの設問について、私がよってたつ立場を、いままでとは言葉を代えて記してみたいと思います。

私にとってこの問題/エピソードは、確かに《ひとつのおはなし》ではあるのですが、しかし、確率の問題としては、《ふたつのおはなし》が混ざってしまっている、そのように見えます。

【確率空間がふたつあるおはなし】に見えます。

以下、かなり大雑把な表現で申し訳ありません。

確率を計算するには、まず、いくつかの標本点=根元事象を全て拾い上げ、その全体を標本空間とし、次に、根元事象に〈測度をいれる〉ことをします。サイコロ1個の出目について考えたければ、根元事象として、1、2、3、45、6を拾い、標本空間を{1、2、3、4、5、6}とし、各根元事象に、1/6 といった確率を与え、全確率が1となるようにします。こうして、根元事象に確率を付与された標本空間を確率空間として捉えています。〈測度をいれる〉と申しましたが、表現を代えれば、〈何をもって【同様に確からしい】とするかのモノサシを設定する〉ことです。


眠り姫プロジェクトにおいては、確率空間はふたつあるようにみえます。〈何をもって【同様に確からしい】とするかのモノサシがふたつあり、このモノサシは、ご存じの通りに、お互いにあいいれません。ひとつの確率空間には矛盾する測度をふたつもつことは出来ませんから、眠り姫プロジェクトの設問に答えるためには、ふたつの確率空間を用意する必要があります。

第一のものを《コイントス》確率空間、第二のものを、《目覚め》確率空間と、私は名付けています。


振り返ってみますと、私たちは学校教育や、社会での勉強を通じて、確率の問題を解くさいに、常に、ひとつの問題につきひとつの確率空間を用意されてきていました。それでことたりてきていましたので、確率空間がふたつもある問題には出会って来ませんでした。このため、ひとつの物語、エピソードを、確率を通じて理解しようとした場合には、どうしても、ひとつの確率空間を設定してその上で、物語/エピソード上の全ての事象について確率を付与しようと努力します。これは正しい道なのでしょうか?

さて、《コイントス》確率空間での根元事象は、コインの表と裏とです。標本空間は{表、裏}とでも書いておくことができるでしょう。私たちはここに、フェアなコインが使われるという条件から、等確率の原理が使えるとみなして、〈何をもって【同様に確からしい】とするかのモノサシ〉を決定します。即ち、測度をいれます。各根元事象に1/2という値を設定します。これで《コイントス》確率空間の出来上がりです。

また、《目覚め》確率空間を考えます。(方針。各目覚めに等しい価値を与えます。実際に実験会場での被験者のチョーカーの色の分布からも推定できるのですが。)
根元事象として、赤チョーカー2日目の目覚め、青チョーカー2日目の目覚め、青チョーカー3日目の目覚め、を考えます。標本空間としては、{赤チョーカー2日目の目覚め、青チョーカー2日目の目覚め、青チョーカー3日目の目覚め}です。ここに測度をいれますが、〈何をもって【同様に確からしい】とするかのモノサシ〉については、各目覚めは等価だと捉えるモデルを採用できます。各根元事象には1/3の確率を与え、これで、《目覚め》確率空間の出来上がりです。

強調しすぎてもなお強調しておきたいところですが、これらふたつの確率空間における測度、〈何をもって【同様に確からしい】とするかのモノサシ〉は互いに相容れず矛盾します。

私は以上の見地に立ち、眠り姫プロジェクトの各設問に答えます。

問1。《コイントス》確率空間で答えるべき問いとします。 1/2。自明。

問2。《目覚め》確率空間で答えるべき問いとします。 1/3。自明。

問3。《コイントス》確率空間で答えるべき問いとします。 1/2。自明。

問4。《コイントス》確率空間で答えるべき問いとします。 15000円。自明。


問5。《目覚め》確率空間で答えるべき問いとします。 標本空間は{赤チョーカー2日目の目覚め、青チョーカー2日目の目覚め、青チョーカー3日目の目覚め}で、新たに与えられた情報は、《今日は二日目》ですから青チョーカー3日目の目覚めの事象が排除されます。残る事象のうち赤いチョーカーをつけている割合をみてとれば、答えは1/2。

問6。《コイントス》確率空間で答えるべき問いとします。 1/2。自明。

問7。《コイントス》確率空間で答えるべき問いとします。 15000円。自明。


===

以上のように考えます。元1/3派の者として、1/3派の方々に訴えますが、皆さんは、1日目の問1では、《コイントス》確率空間で解釈し、2日目以降の問2から問7までを《目覚め》確率空間で生きていらっしゃいます。(問1と問3での確率が異なる事由として)目覚めたことに確率改訂の力があるとお考えなのかもしれませんが、単に、確率空間を乗り換えただけですから、条件的確率を計算したのでもなく、ベイズ的確率改訂をしたのでもない、と私は考えております。皆さんはすでに確率空間を乗り換えていらっしゃるのですから、他の問においても適宜、確率空間を乗り換えていけば良いのではないかと存じます。いかがでしょうか?