nothing ( No.48 ) |
- 日時: 2011/01/27 18:16
- 名前: そうそう
- 「オホーツク海の魔法使いは嘘をつくかい?」
私の問いに、歌論は口の端を歪めて笑うだけだった。
オホーツク海は日本の北にあります。 魔女でないが実力はある=魔法は使える=魔法使い(男)。 人をだます=嘘をつく、というわけです。
エピローグ:
…私の目的は、妻の奈美をよみがえらせること。 今までの魔女は、不完全な、腐乱死体のような状態でしか蘇らせることができなかった。
私は、それをなぎ倒し、焼き捨ててきた。 …骨だけの状態にしておきながら、私はまた妻を蘇らせようとしている…。
…魔法使いとの取引は終わった。 ただし、条件として、彼の領域を抜けるまで、決して妻のほうを振り返ってはいけなかった。
…わかっている、わかっているんだ。 私は、決して振り返らなかった。振り返らなければ、真実を知ることもない。 結界を抜ける前に、妻が私を後ろから抱き締めた。 痣が残るほど、強く、強く、さらに強く…
-------------------------------------------------- わかる人はわかると思いますが、これは各国の「蘇り(黄泉帰り)」の伝説を元にしています。
主人公はイザナギ、妻はイザナミ。 エーゲ海の近くのギリシャでは、オルフェウスが妻のエウリディケを。 ペルシャ湾近くのシュメールの神話では、女神イナンナが蘇り、夫の不義理を見て復讐を。 インド神話ではルルがプラマッドヴァラーを生き返らせ、ハッピーエンド。
蘇る彼女らより名前を頂きました。 本来は、彼女らが魔女というわけではないのです。 各国に残る神話の奇妙な共通点。不思議ですよね。
ちなみに、オルフェウスはうっかり振り返った(約束を破った)ので、妻が黄泉の国へ戻されました。
が、イザナギの場合、振り返ると、イザナミの姿が「くさったしたい」状態だったので、 イザナギは恐れて黄泉の門を閉ざしてしまいます。
もし、振り返っていなかったら… 地上に、腐った死体が満ち溢れていたのかもしれません!
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