pc ( No.217 ) |
- 日時: 2010/03/20 21:27
- 名前: 京
- エピローグ
あの後すぐに将門は撮影現場へと戻って行ってしまった。 二人は茶屋から本日宿泊予定の温泉旅館へと場所移動。
暗号と格闘しはじめて既に三時間程度経過してしまっている。 時計の針は午後五時を回っていた。
携帯電話の検索機能をフル活用しながら 完治はずっと旅館のロビーの一角のテーブルを陣取り頭を悩ませていたのだが 武田信玄の名が宮本武蔵と繋がった時、やっと希望の光を見た気がした。
旅館のロゴ入りのメモ用紙へ暗号解読の道筋を書き示して行く。
「 ふう・・やっとそれらしいお土産に行き着いたぞ。 おじさんがご希望のお土産は風林火山からアラフォー世代のオヤジギャグを使用して風鈴。 夏奈の夏にピッタリなお土産だもんな。 それから夏奈の暗号は休火山から死火山へ変換してし、か、ざ、ん・・か、ん、ざ、し。簪だろ?」
夏奈もあれからずっと根気よく完治に付き添っていた。
「 正解。やったじゃん完治 今日はまったくのノーヒントでそこまでたどり着けたなんて凄い凄い。」
「 じゃあ、土産はこれであってるんだな?」
「 うん、風鈴が父さんが示したお土産でかんざしが私が要求したお土産でした。」
「 やれやれだな。・・ん? だとすれば今から風鈴を探しに行かなきゃ行けないのか。 この時期に風鈴を探すのは難しいんじゃ・・・。」
「 やっぱり完治もそう思う? あのね、言おうどうしようか迷ったんだけどたぶんそれって 父さんのちょっとした悪戯心だと思うんだ。 この時期に京都でお土産用の風鈴を見つけるのは困難な事がわかってて困らせようとしたのかも。 ・・もう時間も迫ってるし、完治もここまで頑張ったんだもん 助け船を出しちゃいまーす。出して欲しい?」
「 ・・・お願いします。」
「 はい、了解しました♪じゃあ、風鈴のワードを携帯で検索かけてみて」
「 風鈴を検索・・?」
完治は頭にクエスチョンマークを浮かべながらも言われたように“風鈴”の二文字を 携帯電話でワード検索にかけてみた。
「 風鈴、夏の風物詩。京都だと竹風鈴ってのがあるみたいだ。 おじさん、武田信玄の武と竹をかけたのかな。 ・・・あれ?」
風鈴にまつわる内容を調べていた完治。 最後の方に書き込まれてあった文章に目が止まった。
「 最近の日本では洒落で風鈴の二文字をプリンという当て字として使う事がある・・。 風鈴と書いてプリンと読むか。」
「 ・・ね?風鈴と書いてプリンと読ませる。 オヤジ的な暗号にはオヤジ的解釈で対抗しなきゃ♪」
「 確かに“プリン”だったら土産物売り場で抹茶プリンが簡単に手にはいる。 ・・でもなあ。」
おじさんが示した物では無いとわかっているのにプリンを渡していいのか? と言う気持ちが完治を躊躇させる。
「 もう!完治ったら真面目なんだから。私がプリン食べたいの。だからお願い♪」
「 はいはい、姫にはかないません。仕方ない・・もう時間切れ プリンでファイナルアンサーだ!」 そう叫びながら旅館の土産物売り場へと向かった。
「 ・・毎度おおきに。」
無事に完治は旅館の土産売り場で抹茶プリンを購入成功。
夏奈が待つロビーに戻る最中、完治は手にした袋に入れられたプリンを見て 夏奈のEカップの豊満な胸のイメージを重ね合わせていた。
・・・・・。
プルンプルンの夏奈の胸を今日は俺が思う存分に いただけるかも知れなかったのになあ。
いやいや、まだわからないよな。 おじさんだってずっと夏奈と一緒にいるはずないし なんとか夏奈の部屋に入り込めさえすれば後は若い二人のする事はひとつ・・!?
・・そんな怪しい妄想からハッと我に返った完治 目の前に夏奈の待つロビーには撮影を終えた将門がマネージャーと共に 夏奈と楽しそうに話している姿が見えた。
完治は将門と挨拶を交わした後 暗号の経緯と購入したものが風鈴ではなうプリンの意味を将門に説明をする。
さすがに将門は驚いた表情をしていたがさすがは暗号好きの将門。 予想外の反応で完治のプリンに大感激してくれた。
「 完治君、今回はしてやられた。 風鈴をプリンと読む。 蜂は虫・・虫だけに蒸した土産・・お見事!」
「 ふふふっ♪父さん完治ってば凄いでしょ?見直した?」
夏奈は完治の腕をとり大喜び。
・・ああ〜♪腕に夏奈のプリンの感触・・
そんな完治の怪しい妄想に気づいているのかいないのか 突然完治に向かってこう言った。
「 完治君、今日は私と同室でいいかな?」
「 ええええ!?」
夏奈と完治の声がロビーに響いた。
「 な、なんで父さんと完治が同室なの!?」
「 私が完治君を気に入ったからに決まってるだろ。 若いときの鉄治と一緒にいるみたいで私も若返った感じがして嬉しいんだ。 完治君いいかな?」
鉄治とは完治の父親で将門とは幼馴染みで悪友らしい。
「 ・・も、もちろん喜んで・・。」
完治はひきつり笑いを浮かべながらかすれる声でそう答えたのだった。
夏奈はやれやれと言った表情であきれ顔。
・・ははは。これじゃあ部屋を抜け出して夏奈の所にいくどころの騒ぎじゃないぞ。
今夜は夏奈のEカップをいただくんじゃなくて いいカップに入った抹茶プリンだけをいただきますってか〜!?
・・ガックリ。
つづく・・かもしれない。
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