pc ( No.186 ) |
- 日時: 2009/07/16 23:43
- 名前: かりむ
-
男につかまれた手をハッとして振り払おうとする女。
女「き、急になにをおしだい。放しとくれ!」 男「おめえの正体なんぞはなからお見通しさ。 首がなが〜く伸びる妖怪、ろくろ首だろう。」 女「やっぱり気づいていたんだね。 さあ、わかっているならその手をお放しよ! だいたいなんで知っていながら・・・」
はっきりと正体を口にされ、さらにがっちりと手首をつかまれて 女は口惜しいやら恥ずかしいやら。 それを見てなぜか男はニヤニヤしております。
男「いやなに、久々にお仲間が見つかったと思ったら嬉しくなっちまってなぁ。」 女「お仲間ってまさか・・・」 男「そういうことさ。おいらもほれ」
男は自分の首をつるりとひと撫ですると、するすると伸ばして見せました。 それを見た女の驚くまいことか。
女「そんなそんな・・・なんで今まで黙って・・・」 男「あっはっは。そんな顔すんない。 おめえの隠しようが可笑しくて、ついお遊びがすぎちまったのさ。」 女「いやだねえもう、憎らしいひとっ。」 男「いてててっ!首はやめてくれ、首根っこは!」 女「ふふ、ちょいと意趣返しさね。」
そうして初手からの思惑通り、あとはしっぽり闇の中・・・。
このあやかし達が好んだ行灯の灯りも だんだんと消え去ろうかという明治の頃のお話。 果たしてどちらが化けたのやら化かされたのやら。 そんなあやかしの恋の一幕、これにて締めとさせていただきますm(__)m
|
|