「警部。考えましたが誰が犯人か分かりません。ノト・ナルミではないんですか?」
「では順番に説明しよう。犯人がノト・ナルミであると伝えたいのであれば、
単に『犯人はノト・ナルミ』と書けばいい。
だが実際には『おお・は・ん・に・ん=』などという不自然な記述になっている。
何か別のメッセージが隠されていると考えるべきだ」
「なるほど」
「『・』や『=』が使われていること、被害者がパズル作家であったことから、
この文章は覆面算になっているのではないかと推察される」
「覆面算!?SEND+MORE=MONEYみたいなやつですか?」
「そうだ。この文章は『おお×は×ん×に×ん=ノト×ナルミ』とみることができる」
「おお!」
「さらに一行目の文章も覆面算とみなすことができる」
「どういうことですか?」
「お、たす、け、は、うん。うまれか、わる、のか、は、かけ。
このように区切って読めば、
お+け=うん、うまれか÷のか=かけ
という二つの式とみることができる」
「なんてこった!
」
「お+け=うん、うまれか÷のか=かけ、おお×は×ん×に×ん=のと×なるみ
という3つの式からなる覆面算だな。しかし、ここで一つ問題が発生する」
「どういう問題ですか?」
「よく見てみたまえ。
ここには14種類の文字が使われている。数字は10種類しかないのにだよ。
つまり、この覆面算を解くことはできないのだ!」
「駄目じゃないですか
」
「ところで、君はどうして被害者が単純に犯人の名前だけを書かなかったのか分かるかね?」
「それはやはり、犯人に見られることを考えたからではないでしょうか。
せっかく犯人の名前を書き残しても犯人に消されてしまったら元も子もないですから」
「そのとおり。つまり、この文章は犯人に見られる可能性があったということだ。
そして、実際に犯人はこの文章を見たと私は推理した」
「どうしてですか?」
「最初に述べたように、ノト・ナルミが犯人であるならば、
こんな不自然な文章になったはずがない。
彼女が犯人でないならば、彼女の名前を書くことは誤解の元になる。
現に君はノト・ナルミが犯人だと思ってしまった。
どちらにしても被害者が彼女の名前を書いたとは思えない。
では誰が書いたのか。犯人以外にはありえない」
「なんですって!
」
「被害者が書いたのは、それ以外の部分、
『お助けは運。生まれ変わるのかは賭け。
おお・は・ん・に・ん=』
だけだったと思われる。これを見た犯人はどう思うだろうね。
これから犯人の名前を書こうとしたところで力尽きた。そう思うだろう」
「確かに」
「それこそが被害者の狙いだったのだ。
途中で力尽きたと犯人に思わせれば、そのまま何もされない可能性が高い。
そして、実際には被害者のメッセージはこれで完成している」
「ど、ど、ど、どういうことですか
」
解決篇 2009/02/02 12:35
「では順番に説明しよう。犯人がノト・ナルミであると伝えたいのであれば、
単に『犯人はノト・ナルミ』と書けばいい。
だが実際には『おお・は・ん・に・ん=』などという不自然な記述になっている。
何か別のメッセージが隠されていると考えるべきだ」
「なるほど」
「『・』や『=』が使われていること、被害者がパズル作家であったことから、
この文章は覆面算になっているのではないかと推察される」
「覆面算!?SEND+MORE=MONEYみたいなやつですか?」
「そうだ。この文章は『おお×は×ん×に×ん=ノト×ナルミ』とみることができる」
「おお!」
「さらに一行目の文章も覆面算とみなすことができる」
「どういうことですか?」
「お、たす、け、は、うん。うまれか、わる、のか、は、かけ。
このように区切って読めば、
お+け=うん、うまれか÷のか=かけ
という二つの式とみることができる」
「なんてこった! 」
「お+け=うん、うまれか÷のか=かけ、おお×は×ん×に×ん=のと×なるみ
という3つの式からなる覆面算だな。しかし、ここで一つ問題が発生する」
「どういう問題ですか?」
「よく見てみたまえ。
ここには14種類の文字が使われている。数字は10種類しかないのにだよ。
つまり、この覆面算を解くことはできないのだ!」
「駄目じゃないですか 」
「ところで、君はどうして被害者が単純に犯人の名前だけを書かなかったのか分かるかね?」
「それはやはり、犯人に見られることを考えたからではないでしょうか。
せっかく犯人の名前を書き残しても犯人に消されてしまったら元も子もないですから」
「そのとおり。つまり、この文章は犯人に見られる可能性があったということだ。
そして、実際に犯人はこの文章を見たと私は推理した」
「どうしてですか?」
「最初に述べたように、ノト・ナルミが犯人であるならば、
こんな不自然な文章になったはずがない。
彼女が犯人でないならば、彼女の名前を書くことは誤解の元になる。
現に君はノト・ナルミが犯人だと思ってしまった。
どちらにしても被害者が彼女の名前を書いたとは思えない。
では誰が書いたのか。犯人以外にはありえない」
「なんですって! 」
「被害者が書いたのは、それ以外の部分、
『お助けは運。生まれ変わるのかは賭け。
おお・は・ん・に・ん=』
だけだったと思われる。これを見た犯人はどう思うだろうね。
これから犯人の名前を書こうとしたところで力尽きた。そう思うだろう」
「確かに」
「それこそが被害者の狙いだったのだ。
途中で力尽きたと犯人に思わせれば、そのまま何もされない可能性が高い。
そして、実際には被害者のメッセージはこれで完成している」
「ど、ど、ど、どういうことですか 」