クイズ大陸



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Season's Greetings ≫No. 1
?シーラ 2008/12/24 00:01囁き
12月22日午後7時。
地下へと降りる階段の奥に、モダンな黒塗りのドアが私を待ち受けていた。
少し力を込めてそれを押す。と、静かで心地よいピアノのメロディーが耳に飛び込んでくる。
店内を見回すと、奥のテーブルに座っていた二人連れがこちらを向いてそっと手招きした。
「おお、椎良さんがお出でじゃ。」
「スーさん、スエさん、お待たせしてしまったようで誠に申し訳ございません。」
懐かしい方々との再会に声も弾む私。
「いいえ、私たちも今来たところなんですのよ。」スエさんがニッコリ微笑む。今日も和服姿が艶やかだ。
早速シャンパンで乾杯し、再会を喜び合う。
ここは都内某所にある無国籍創作料理のダイニングバー<anagura>。

「こちらはややカジュアルな雰囲気ですので、お二人のお好みに合うかどうか迷ったのですが……」
「いやいや、たまにはこういうお店も悪くないのう。そう言えばピアニストには見覚えがありますぞ。」
「確かにそうですわね……先ほど、後でリクエストタイムがあると伺いましたので、何かご希望の曲を考えておいて下さいね。私たちは余り存じませんから。」
暫くはジャズのスタンダードナンバーが何曲か演奏され、その間私たちは料理に舌鼓を打ちながら近況を語り合った。

***

「これからはリクエストタイムになります。何かございましたらこちらにお書き下さいませ。」
顔馴染みのウェーターがリクエスト用のメモ用紙を渡しに来た。
「そうですね……私が来てからは未だのようですので、この曲をお願いしようかと思うのですが。」
そう言って私は「夢見るは 秋の色満つ <サンタ行こう>」と書いてお二人に見せた。
「おお、暗号で来たか……しかし季節感が雑多で、大分無理があるのう。」スーさんは呆れたように私を見る。
「まあそう仰らずに。椎良さんの意図は分かりましてよ。……今日椎良さんは黒を基調としたお召し物ですけど、それが冬の色ということですわね?」と優しくウィンクするスエさん。
「確かに曲自体はこの時期に相応しいがの。……歌詞も特に二番が、椎良さんの気持ちを表しているのじゃな?
実現は難しくとも気持ちだけは、というところかな?」
「やはり歌詞をご存知ですのね?」
「勿論じゃ。年の功とは言いめさるな。……秋の色についてはスエさんの言うとおりじゃが、<サンタ行こう>とは、なまじそれが意味ある日本語に思えてしまうために、却って誤解する場合もあるのではないかな?」
「スーさん、どなたに仰っておいでなのです?」
「独り言じゃ。……とにかく何を以て秋の色とするのか、若干の知識は必要だし、加えて例のアレを行なわねばならんのう。この店ならばそれも已むを得んことかな……勿論それをせずとも、山勘で当てることも出来るであろうが。」

***

それでは問題です。
私(椎良)がリクエストしようとしたのは、一体何の曲だったのでしょう?
曲名のみを平仮名でお書き下さると、かってに君が判定いたします。

なお、別解は五つご用意しております。そのうち四つがタイトル(洋楽の場合は邦題)に「冬」の字が入る曲(一つは連作曲集)で、残りは「冬」の字は入りませんが、やはり冬にちなんだ内容の曲です。
こちらも平仮名で入力して下さい。但し出題者は結構な年齢ですので、お若い方には分かり難い選曲であること、加えて演歌は大の苦手ですので、その方面は入れておりませんことを予めお断り申し上げます。


<追記>
登場人物の設定は、Yossyさんご出題の「推理マニアのクリスマス」(http://quiz-tairiku.com/q.cgi?mode=view&no=5380)からお借りしております。
(但し椎良の職業が推理作家では些か荷が重いですので、今回は図書館勤務ということにしておきましょう。)
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