さらに考察を進めます

「5」の位置に注意、と書きましたので、次は5の位置について考えてみましょう

既約分数の足し算をした後に、計算結果で分母が消えるのはどういうときでしょうか?
また、分母が消えなくても約分できるようになるとき、どのような数で約分できるのでしょうか?
このことについて考察してみます。
(互いに素とは、公約数が1だけとなるものを意味しています)
「2/15 + 1/6 = 9/30 = 3/10」を例にとってみます。
この計算では分母の公約数3が最後約分できています。
また「1/6 + 1/2 = 4/6 = 2/3」でも公約数2が約分できています。
ところが「1/9 + 1/3 = 4/9」では約分はできません。
詳しい計算は下に書きますが、既約分数の足し算では次のことが言えます。
(1)足し算の後に約分できるとしたら、分母の公約数だけ。
「2/15 + 1/6」や「1/6 + 1/2」が当てはまります。
(2)ただし公約数と、もとの分母を公約数で割ったものの間に、さらに1以外の公約数が存在すると、少なくとも分母の最大公約数では約分できない。
「1/9 + 1/3」は公約数3で9を割ると 9/3=3 なので、これともとの公約数3が互いに素ではなくなります。
(3)足し算で整数になるのは分母が同じときに限る。
右辺を計算していくと、最終的に 1/2+3/2 のようになるということです。
<なぜなら…>数式を使って証明します。
A/B+C/D の計算をします。
分母 B,D の最大公約数をMとします。
すると B=Mb, D=Md と書けます。
ここでAとB(=Mb)は互いに素、すなわちAとM、Aとbは互いに素。
同様にCとM、Cとdも互いに素。
bとdも互いに素です。
A/B+C/D=(Ad+Cb)/Mbd
ここで Ad+Cb について、Aとd二つともbと互いに素なので、Ad+Cb はbと互いに素になります。
同様に Ad+Cb はdとも互いに素です。
したがって仮に約分できるとするなら、Mの約数しかあり得ません。
つまり約分できるとしたら最大公約数Mの約数、つまり分母B,Dの公約数となります。
ところがもしMとbが互いに素でないとします。
このとき、Mとbの最大公約数をmとして、M=mX, b=mYと書けます(mは1より大きな自然数)。
このときXとYは互いに素です。
すると
(Ad+Cb)/Mbd=(Ad+CmY)/(mX*mY*d)
となります。
Aは B=Mb=(mX)*(mY) と互いに素なのでAとmは互いに素。
dとB=mYは互いに素なのでdとmも互いに素。
以上より、分子は少なくともmは因数に持ちません。
だから、分母B,Dの最大公約数Mが、b,dのどちらかと互いに素でない場合は、最大公約数では約分できない。
要約すれば、
「約分できるとすれば、最大公約数Mの約数で、bやdと互いに素なものだけ」
とも言い換えられます。
また結局bdが通分しても消えないので、足し算して整数になるときはb=d=1、つまり分母が等しい既約分数の足し算だけ、となります。
「5」の位置に注意、と書きましたので、次は5の位置について考えてみましょう
既約分数の足し算をした後に、計算結果で分母が消えるのはどういうときでしょうか?
また、分母が消えなくても約分できるようになるとき、どのような数で約分できるのでしょうか?
このことについて考察してみます。
(互いに素とは、公約数が1だけとなるものを意味しています)
「2/15 + 1/6 = 9/30 = 3/10」を例にとってみます。
この計算では分母の公約数3が最後約分できています。
また「1/6 + 1/2 = 4/6 = 2/3」でも公約数2が約分できています。
ところが「1/9 + 1/3 = 4/9」では約分はできません。
詳しい計算は下に書きますが、既約分数の足し算では次のことが言えます。
(1)足し算の後に約分できるとしたら、分母の公約数だけ。
「2/15 + 1/6」や「1/6 + 1/2」が当てはまります。
(2)ただし公約数と、もとの分母を公約数で割ったものの間に、さらに1以外の公約数が存在すると、少なくとも分母の最大公約数では約分できない。
「1/9 + 1/3」は公約数3で9を割ると 9/3=3 なので、これともとの公約数3が互いに素ではなくなります。
(3)足し算で整数になるのは分母が同じときに限る。
右辺を計算していくと、最終的に 1/2+3/2 のようになるということです。
<なぜなら…>
数式を使って証明します。
A/B+C/D の計算をします。
分母 B,D の最大公約数をMとします。
すると B=Mb, D=Md と書けます。
ここでAとB(=Mb)は互いに素、すなわちAとM、Aとbは互いに素。
同様にCとM、Cとdも互いに素。
bとdも互いに素です。
A/B+C/D=(Ad+Cb)/Mbd
ここで Ad+Cb について、Aとd二つともbと互いに素なので、Ad+Cb はbと互いに素になります。
同様に Ad+Cb はdとも互いに素です。
したがって仮に約分できるとするなら、Mの約数しかあり得ません。
つまり約分できるとしたら最大公約数Mの約数、つまり分母B,Dの公約数となります。
ところがもしMとbが互いに素でないとします。
このとき、Mとbの最大公約数をmとして、M=mX, b=mYと書けます(mは1より大きな自然数)。
このときXとYは互いに素です。
すると
(Ad+Cb)/Mbd=(Ad+CmY)/(mX*mY*d)
となります。
Aは B=Mb=(mX)*(mY) と互いに素なのでAとmは互いに素。
dとB=mYは互いに素なのでdとmも互いに素。
以上より、分子は少なくともmは因数に持ちません。
だから、分母B,Dの最大公約数Mが、b,dのどちらかと互いに素でない場合は、最大公約数では約分できない。
要約すれば、
「約分できるとすれば、最大公約数Mの約数で、bやdと互いに素なものだけ」
とも言い換えられます。
また結局bdが通分しても消えないので、足し算して整数になるときはb=d=1、つまり分母が等しい既約分数の足し算だけ、となります。