いよいよ最終編です
長かった…(-へ-;)*****************
「え? どういうこと?」
解けたと思っていた暗号が完全ではない、と言われた真珠美は目を丸くしている。
「真珠美が解いたのは『花札』の暗号よね。でも、この暗号に使われているのは『花札』だけじゃないでしょ?」
「『いろはかるた』でしょ? それなら『花札』の暗号の時に得点札を確定するのに使ったじゃない」
「だから、それだけのためなら「い」とか「わ」とか、それぞれの行のトップに来ている文字を使った方がわかりやすいじゃない? それに、『いろはかるた』の一枚は「灰色」よ。つまり、この3枚『いろはかるた』にはそれなりの意味があるってことよ」
椿はコーヒーを口にする。2杯目のコーヒーも少し冷めてきていた。対する真珠美のコーヒーはほとんど手付かずのままだった。
「なるほど…。でもこのままじゃ意味がわからないから…」
「あのー、できましたけど…」
椿と真珠美が話しているところに、堂寺刑事がおずおずと割って入ってきた。
『けど』って何よーなどと真珠美が言うと、堂寺刑事は続ける。
「できましたけど、意味がわからないんですよ」
堂寺刑事が書き込んだものを、椿と真珠美は覗き込む。
番号 色 書いてあること
1 白 出たさび
2 白 桜幕 は
3 白 菖蒲短冊 く
4 灰 桜幕 は
5 白 帆をあげる
6 白 松鶴 い
7 灰 萩猪 つ
8 灰 菊カス ひ
9 白 牡丹短冊 や
10 灰 道連れ
11 白 松短冊 う
12 灰 菊短冊 ふ
「あと一息なんですが…、カードの色についてまだ考えていなかったですよね?」
椿が言うと、堂寺刑事はすぐに思いついたようだ。
「もしかして濁音ですか? 白が清音で灰が濁音。とすると…、
『はくばいづびやうぶ』 ん?」
「そもそも『江戸』に拘って作られた暗号ですからね。江戸時代に使われていた言葉で記されているようですね」
「なるほど、ということは旧仮名遣いですね。
『はくばいずびょうぶ(白梅図屏風)』! えっと確かどこかの寺院に…」
カバンに入っていた資料を探す堂寺刑事を見やり、椿は言う。
「恐らく濃絵(だみえ)のものですよ。暗号にそう書いてありますから…」
「あっ、ありがとうございました! 取り急ぎ署に戻って、報告してきます!」
そう言うや否や、堂寺はあわただしく店を出て行った。
残された椿と真珠美は、驚きながら見送り、つぶやく。
「ねぇ、あの刑事さん…」
「うん、コーヒー代払ってないよね…」
堂寺が出て行った扉を見て、二人はふぅとため息をついた。
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pekoe
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「え? どういうこと?」
解けたと思っていた暗号が完全ではない、と言われた真珠美は目を丸くしている。
「真珠美が解いたのは『花札』の暗号よね。でも、この暗号に使われているのは『花札』だけじゃないでしょ?」
「『いろはかるた』でしょ? それなら『花札』の暗号の時に得点札を確定するのに使ったじゃない」
「だから、それだけのためなら「い」とか「わ」とか、それぞれの行のトップに来ている文字を使った方がわかりやすいじゃない? それに、『いろはかるた』の一枚は「灰色」よ。つまり、この3枚『いろはかるた』にはそれなりの意味があるってことよ」
椿はコーヒーを口にする。2杯目のコーヒーも少し冷めてきていた。対する真珠美のコーヒーはほとんど手付かずのままだった。
「なるほど…。でもこのままじゃ意味がわからないから…」
「あのー、できましたけど…」
椿と真珠美が話しているところに、堂寺刑事がおずおずと割って入ってきた。
『けど』って何よーなどと真珠美が言うと、堂寺刑事は続ける。
「できましたけど、意味がわからないんですよ」
堂寺刑事が書き込んだものを、椿と真珠美は覗き込む。
「あと一息なんですが…、カードの色についてまだ考えていなかったですよね?」
椿が言うと、堂寺刑事はすぐに思いついたようだ。
「もしかして濁音ですか? 白が清音で灰が濁音。とすると…、『はくばいづびやうぶ』 ん?」
「そもそも『江戸』に拘って作られた暗号ですからね。江戸時代に使われていた言葉で記されているようですね」
「なるほど、ということは旧仮名遣いですね。『はくばいずびょうぶ(白梅図屏風)』! えっと確かどこかの寺院に…」
カバンに入っていた資料を探す堂寺刑事を見やり、椿は言う。
「恐らく濃絵(だみえ)のものですよ。暗号にそう書いてありますから…」
「あっ、ありがとうございました! 取り急ぎ署に戻って、報告してきます!」
そう言うや否や、堂寺はあわただしく店を出て行った。
残された椿と真珠美は、驚きながら見送り、つぶやく。
「ねぇ、あの刑事さん…」
「うん、コーヒー代払ってないよね…」
堂寺が出て行った扉を見て、二人はふぅとため息をついた。
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