本問は拙作「桜の誕生日」の続編で、シリーズ5作目になります。
前回の話を読んでいなくても今回の問題を解くのに特に影響はありませんが、
最後の"pekoeの言い訳"で今回のヒントとなる暗示ワードがありますので、興味のある方は覗いてみてください♪
前回のお話はこちら↓↓("pekoeの言い訳"はNO.32です)
http://www.quiz-tairiku.com/q.cgi?mode=view&no=6370*** 喫茶店にて ***
桜の誕生日プレゼントと入学祝いの品を選び終え、歩き疲れた足を休めるため、椿と真珠美は近くの喫茶店に入ることにした。
地下にあるその店に入るため、細く薄暗い階段を下り、重い木製のドアを押す。すると白熱灯のやわらかな光と耳に心地よいジャズの音色、そしてコーヒーの強い香りに迎えられる。
コーヒーをそれぞれ注文し、サイフォンで淹れられる様子を観察しながら、今年の単位は何を履修しようかとか、夏にはどこかに旅行に行こうかなどと、とりとめのない話をしていたのだが、ふと見渡した店内で、席を探しているらしき人物に見覚えがあり、椿は思わず声をかけた。
「堂寺さん…?」
席を探していた男は、突然声をかけられて一瞬とまどっていたようだが、
「えっ? あっ…あのときの…」
椿が声をかけたのは、県警の堂寺刑事。かつて、椿が解決の一助となった殺人事件の担当刑事だった。(詳しくは拙作「和服美人にご注意あれ」を参照のこと。
といっても堂寺刑事は大して出てきていませんが)
真珠美と堂寺刑事にそれぞれを簡単に紹介する。
「その節はどうも〜」
などと言いながら、堂寺刑事はちゃっかり椿たちのテーブルの席に座る。
「はあ…こちらこそ…」
曖昧な返事をしながら、椿は何となく嫌な予感を感じていた。笑顔も妙にさわやかに堂寺刑事は話し始める。
「いや〜、まったく丁度いいときに…。いえ、ここで遭ったのも何かの縁、またあの時のように、少しお知恵を拝借できませんか?」
「はあ…」
眉根にシワをよせる椿の顔が目に入っていないのか、堂寺刑事は続ける。
「イタズラの可能性もあるので、警察も大っぴらには動けないんですよ。何せ、怪盗から来た挑戦状ですからね。しかも、名前がふざけてるとしか思えない。怪盗ブラック・オパールだなんて…」
「怪盗ブラック・オパールっ!?」
その名前を聞いた途端、二人は思わず大きな声をあげてしまった。思い思いにくつろいでいた店内の客たちの注目を浴びてしまう。
「どっ…どうかしたんですか?」
堂寺刑事も目を丸くしている。あはは…と取り繕うような笑いを周囲にふりまきながら、二人はコソコソと話をする。
「ちょっと…その挑戦状、まさか真珠美じゃないでしょうね?」
「バカ言わないでよ! 何だか偽ブランドみたいな名前でムカツキこそすれ…」
「偽ブランドって、向こうは警察に送りつけてるのよ? 向こうがホンモノなんじゃないの?」
「私の方が先に名乗ってるわ。私がホンモノに決まってるじゃないの」
「いや、だから本物なら…」「あのー」
額をくっつけるようにして内緒話をしていた二人に、堂寺刑事が割って入ってきた。
「あら、ごめんなさい刑事さん。それで予告状はどんなものなのかしら?」
「あ、そうそう。これはコピーなんですが…」
そういって堂寺刑事はカバンの中から数枚の紙を取り出し、椿に渡す。
一枚目を見ると、『挑戦状』と大きく題をふった文面のコピーがあった。
××県警関係者諸君
突然の挑戦状、さぞや驚いていることであろう。
いきなりこんなことをしたのは、ちょっとしたゲームを思いついたからなんだ。
私は日ごろ酒も煙草もやらない性質なので、人生の楽しみがあまり無いのでね。
ちょっと諸君らに喧嘩を売って、ひと花咲かせてみたくなったのだよ。
さて、ゲームのルールは単純明快だ。
私が狙っている、ある美術品についてのヒントを差し上げよう。
私はそれを○月○日にいただこうと思っている。
これを元に、その美術品に辿り着くことができたら諸君ら警察の勝ちとしよう。
言っておくが、私をあまり見くびらないことだ。
その美術品への警備が少しでも甘いと思ったら、遠慮なく盗ませて貰うよ。
それでは、○月○日に。諸君らの健闘を祈る。
怪盗 ブラック・オパール
pekoe
前回の話を読んでいなくても今回の問題を解くのに特に影響はありませんが、
最後の"pekoeの言い訳"で今回のヒントとなる暗示ワードがありますので、興味のある方は覗いてみてください♪
前回のお話はこちら↓↓("pekoeの言い訳"はNO.32です)
http://www.quiz-tairiku.com/q.cgi?mode=view&no=6370
*** 喫茶店にて ***
桜の誕生日プレゼントと入学祝いの品を選び終え、歩き疲れた足を休めるため、椿と真珠美は近くの喫茶店に入ることにした。
地下にあるその店に入るため、細く薄暗い階段を下り、重い木製のドアを押す。すると白熱灯のやわらかな光と耳に心地よいジャズの音色、そしてコーヒーの強い香りに迎えられる。
コーヒーをそれぞれ注文し、サイフォンで淹れられる様子を観察しながら、今年の単位は何を履修しようかとか、夏にはどこかに旅行に行こうかなどと、とりとめのない話をしていたのだが、ふと見渡した店内で、席を探しているらしき人物に見覚えがあり、椿は思わず声をかけた。
「堂寺さん…?」
席を探していた男は、突然声をかけられて一瞬とまどっていたようだが、
「えっ? あっ…あのときの…」
椿が声をかけたのは、県警の堂寺刑事。かつて、椿が解決の一助となった殺人事件の担当刑事だった。(詳しくは拙作「和服美人にご注意あれ」を参照のこと。といっても堂寺刑事は大して出てきていませんが)
真珠美と堂寺刑事にそれぞれを簡単に紹介する。
「その節はどうも〜」
などと言いながら、堂寺刑事はちゃっかり椿たちのテーブルの席に座る。
「はあ…こちらこそ…」
曖昧な返事をしながら、椿は何となく嫌な予感を感じていた。笑顔も妙にさわやかに堂寺刑事は話し始める。
「いや〜、まったく丁度いいときに…。いえ、ここで遭ったのも何かの縁、またあの時のように、少しお知恵を拝借できませんか?」
「はあ…」
眉根にシワをよせる椿の顔が目に入っていないのか、堂寺刑事は続ける。
「イタズラの可能性もあるので、警察も大っぴらには動けないんですよ。何せ、怪盗から来た挑戦状ですからね。しかも、名前がふざけてるとしか思えない。怪盗ブラック・オパールだなんて…」
「怪盗ブラック・オパールっ!?」
その名前を聞いた途端、二人は思わず大きな声をあげてしまった。思い思いにくつろいでいた店内の客たちの注目を浴びてしまう。
「どっ…どうかしたんですか?」
堂寺刑事も目を丸くしている。あはは…と取り繕うような笑いを周囲にふりまきながら、二人はコソコソと話をする。
「ちょっと…その挑戦状、まさか真珠美じゃないでしょうね?」
「バカ言わないでよ! 何だか偽ブランドみたいな名前でムカツキこそすれ…」
「偽ブランドって、向こうは警察に送りつけてるのよ? 向こうがホンモノなんじゃないの?」
「私の方が先に名乗ってるわ。私がホンモノに決まってるじゃないの」
「いや、だから本物なら…」
「あのー」
額をくっつけるようにして内緒話をしていた二人に、堂寺刑事が割って入ってきた。
「あら、ごめんなさい刑事さん。それで予告状はどんなものなのかしら?」
「あ、そうそう。これはコピーなんですが…」
そういって堂寺刑事はカバンの中から数枚の紙を取り出し、椿に渡す。
一枚目を見ると、『挑戦状』と大きく題をふった文面のコピーがあった。